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朝鮮半島南北縦断鉄道の現状と課題
金大中大統領の特使として訪朝した林東源・外交安保統一特別補佐役は帰国後、韓国のテレビとのインタビュー(2002年4月8日)で、東部の日本海沿いの東海線連結を金正日総書記が提案した、ことを明らかにした。これによって、従来の京義線(ソウル〜新義州)は中国と連結、東海線はシベリア鉄道との連結という、すみわけが可能となる。このうち、東海線は韓国側の江陵〜軍事境界線までの127kmと、北朝鮮側の軍事境界線から高城まで18kmの計145kmを修復すれば、釜山から朝鮮半島を縦断して、シベリア鉄道への乗り入れが可能となる(下記の地図参照)。
ところで、この朝鮮半島縦断鉄道構想は、2000年6月に行われた南北首脳会談でにわかに注目を浴び、これまで実際に、韓国側では軍事境界線手前の都羅山駅までが開通している(事業の経過は本欄を参照)。この朝鮮半島縦断鉄道とロシア・シベリア横断鉄道の連結事業が、長年にわたってもち上がっては立ち消えとなっている最大の理由は、ロシアと北朝鮮国境での不連続点(ゲージの相違)の存在が指摘されている。しかしそれ以上に、北朝鮮国内の鉄路の荒廃のほうが大きいとの見方がある。すなわち、現状での線路基盤が、ある一定の定期運行に耐えうる状態であるのか、またトンネルや橋の通行にも支障がないのかーーなど、インフラ施設の荒廃問題である。
一部報道(東京新聞、4月8日付)によると、昨年夏に、北朝鮮の鉄道を調査したロシアの鉄道関係者の話として、「トンネルや橋の多くは危険な状態」にあり、「大規模改修が必要」(ロシア側試算では少なくとも22億ドル=約2,900億円)で、工事をしても採算的に厳しい、と指摘している。
▼将来の南北道路網計画図
それでは、このシベリア鉄道の利用状況を具体的に見てみよう。日本/アジア発欧州行き(西航)の海上輸送コンテナ量(2000年現在)は約507万TEU(20フィート)あり、そのうち、日本発が約66万TEUほどである。なお、欧州発アジア行き航路(東航)はおよそ282万TEUほどである。
一方、日本発着のロシア・シベリア鉄道の利用状況を見てみると、日本発(西航)が1,750TEU、方や日本着(東航)が2,068TEUの合計3,818TEU(2000年現在、日本のトランジットとバイラテラルの合計は10,344TEU)となっている。しかも、日本発に関しては、ほとんどがアフガニスタン向けの貨物(主としてタイヤ)となっている。これに対して、韓国のシベリア鉄道を利用した対欧州コンテナ輸送(ボストーチヌイ港発着)を見ると、トランジットとバイラテラルを合計すると61,282TEUとなっている。
このように、日本/韓国の合計したシベリア鉄道を利用したコンテナ輸送量の合計はおよそ70,000TEUほどである。なお、最近では中国もロシア極東を利用したシベリア鉄道輸送に参加するようになった。
この年間、70,000TEUもの、コンテナすべてが朝鮮半島発着貨物と想定した場合、毎日一定量のコンテナ(最大50車輌編成、一車輌2個のコンテナ積載で、一日2運行。25車輌編成で一日4運行)を北朝鮮国内鉄道を利用して輸送することは、路盤等の関係で厳しいのではないかーーというのが当フォーラムの見方である。また仮に、輸送が可能となったとしても、ロシア国境で大量の貨物積み替え作業などがあり、現状では海上輸送のほうが圧倒的に優位であることには変わりがない。
この朝鮮半島の南北再連結事業に関連した、最も有効な交通輸送手段の本質は「鉄道」整備より、「道路」の整備にあるといえる。鉄道はある意味で、統一の゛象徴゛であり、朝鮮半島の「物流」の根源は「道路」(高規格幹線道路)にある。それは、不連続点(写真参照・朝露国境の豆満江駅・写真撮影(c):IHCC)の解消にもつながり、中国東北地方という、将来の一大生産・消費地域と日本・韓国という同様な要素をもつ地域とを連結する交通の要衝にも位置しているからである。
すでに、韓国内は高速道路網が完備しており、さらに中国東北地域(特に、河北・遼寧省)においても、高速道路網が整備されつつある。残る北朝鮮国内においても、すでに平壌〜開城間の高速道路が開通しており、残す区間は平壌〜新義州間となっている。
(参照):本欄「北朝鮮工業発展とインフラ整備」(IHCC/非公開)
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