近年のシベリア鉄道の動き
-中国・モンゴル経由が始動-
欧州行き中国物資の輸送には最適

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 かつて日本発−欧州行きのシベリア鉄道を利用したコンテナ輸送が最盛期を迎えたのが、11万TEUを数えた時期であった。それは奇しくも1981年から1983年にかけて勃発したイラン・イラク戦争によって、イラン向けの海上ルートが封鎖されたことに起因したものであった。現在(2000年)の日本/アジア−欧州間の海上輸送コンテナ量が約507万TEU(なお、欧州−アジアへの貨物量は約282万TEU)ほどであり、そのうち、13%程度(約66万TEU )が日本発とみられており、80年代当時の11万TEUという数は割合からすれば、かなりの 数量といえる。
       
                                   ≪本稿の初稿:2001年当時≫


 では現在(2000年)の日本発着のSLBを利用したトランジット・コンテナのみの貨物量はどのくらいかといえば、西航が1,750TEU、東航が2,068TEU、合計3,818TEU(日本トランスシベリア複合輸送業者協会資料)と大幅な落ち込みをみせ、海上輸送には遠く 及ばない。しかも西航に関していえば、太宗を占めているのがアフガニスタン向けの貨物である(主としてタイヤなど)。最近ではイラン−アフガニスタン間の国境が通過可能となったことから、イラン経由の海上輸送に代えられつつあり、今後アフガニスタン向け貨物のSLB経由は姿を消すとみられている。これに対して、韓国のSLBを利用した対欧州のコンテナ輸送を見てみると、ボストーチヌイ港のVICS統計によると、2000年のSLB利用は日本発着のトランジットおよびバイラテラルが10,344TEUであったのに対して、韓国発着は61,282TEUと、日本の約 6倍であった。

 :なお、その後のシベリア鉄道におけるトランジット輸送は大分伸びて、2004年度にはこれまでの最高記録を上回る15万5,400個(20フィートコンテナ換算)に達した。特に今後、ロシア・東欧において日系をはじめとする自動車や家電などの現地工場が立地・稼動することこもあり、列車の運行上で衝撃等に耐えられる部品類などの輸送が、海上コンテナ輸送とどの程度競合性がでてくるかに注目が集まる。また、ドイツ等の欧州諸国の中国自動車現地工場への部品類の輸送も、このシベリア・ランドブリッジを利用することによって、大幅な運行増大が予想される。将来的には、20フィートコンテナ換算で、50万TEUほどの需要が見込まれれば、現行の海上輸送とのコスト競争は大きく縮まる。)

 韓国貨物の内訳を見ると、トランジットが37,456TEU、バイラテラル(対CIS)が19,491TEUとトランジットの比率が高い。これに対して日本はバイラテラルの方が多い。韓国貨物の特色としては、西航貨物(韓国発−欧州行)が多い、これは家電機器など対ロ輸出にSLBが利用されていることによる。

 韓国貨物の急増要因としては、

 1)ロシア向け輸出が、経済回復とともに戻ってきた
 2)最近の海上運賃(オールウォーター)高騰
   (韓国発着の対欧州海上運賃は日本発着よりも高いといわれている)
 3)現代商船によるコンテナの提供により、SLBが割安になった

 −−などが考えられる。

 これらの輸送形態は今のところ釜山とボストーチヌイ港を海上輸送で結び、SLBに連結するものである。2000年10月には中国の上海とボストーチヌイ港を結ぶコンテナ船も就航しだした。最後に、このSLB輸送におけるネックは不定時性、最近では少なくなった盗難、海上輸送よりも割高−−などが指摘されているが、その中でもフォワーダー自身によるコンテナの確保、ないしはリース料金の追徴問題がある。これを解決したものに、現代商船による「欧州側にとどまった空コンテナを自社船で回収(東航による海上輸送)するオペレーションを始めた」ことによる効率性に求めることができる。これにより飛躍的なSLBによる輸送を可能とした。

≪参考図書≫


 以上、見てきたように朝鮮半島を縦断してロシアのSLBに連結することの意味はより重要になってくると考えられる。したがって今後は、陸路で朝鮮半島を縦貫し、SLBもしくはCLB(チャイナ・ランドブリッジ)に連結することの経済性と有効性とを考慮する必要がでてくる。

シベリア横断鉄道の利用状況


 (参照):本欄「北東アジア貿易回廊」(ルート図)

 (参照):本欄「
Trans-Asian Railway Northern Corridor
          (UNESCAP/ルート図)

 (参照):本欄「【提言】 東西を結ぶユーラシア・ランドブリッジ再考
          ー中東湾岸危機に対応した代替ルート案ー

 (参照):本欄「シベリア鉄道が全線電化

 (参照):本欄「拡大するシベリア鉄道の国際コンテナ輸送」(ERINA・HP)

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