潜在的発展の底力を持つ造船産業

「中国+1」の最有力、政治も安定
国民は勤勉・反日感情はほぼない


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 ベトナムの造船産業


 ベトナムの主要造船所の大半は国営のビナシン(VINASHIN)傘下にあり、その数は70社ある。現在、バクダン造船所では日本発注の6,300DWT型バルカー、ハロン造船所ではポーランド発注の1,600TEU型コンテナ船や1万2,500DWT型バルカーなどが建造されている。今後は国内向けに18隻の新造船、英国発注の5万3,000DWT型バルカー15隻などの建造計画がある。なお、喫水の浅いハロン・ハイフォン地区は大型船建造に不向き、との指摘もある。ベトナム船舶工業グループ(Vinashin)は2007年7月、国内建造で過去最大となる5万3,000DWT級の船舶を引き渡した。



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 ■ベトナム:造船業を主力輸出産業に

 ビナシン(Vinashin)によると、2007年上半期(1〜6月期)における造船建造高は、4兆4,300億ドン(約2億7,688万ドル、前年同期比53.2%増)、売上高3兆6,850億ドン(約2億3,031万ドル、同48%増)ーーであった。

 商務省は、2010年までにベトナム造船業の輸出額が17億ドルに達することも可能と見る。3,250kmの長い海岸線を持ち、水深ある港が建設できる地域を多数持つベトナムの造船業は今後5年のうちに、15万〜20万トン級船舶の建造、これ以上の船舶の修理が可能になると見られる。種類も、オイルタンカーからコンテナ船、客船、その他貨物船など多様に対応できるという。また、造船業は技術移転などによる内地化率60%達成を目標にしているほか、生産量を30万トンから、2010年に300万トンに引き上げ、新たな造船所、舶用設備生産工場、その他付帯サービスなどを拡大、世界の造船シェア6〜7%を担いたい考えだ。現在、ベトナムの船舶輸出額は年1億5,000万ドルに達している。しかしその一方で、造船産業の裾野はまだ未発達である。例えばVinashinと英Graig社との27隻の新造契約に関しても、ベトナム側はデンマークの専門家を招き、ノルウェーの会社に検査等を依頼せねばならない状況だ。また現在のところ、国内の船舶設計会社が対応できるのは、1万5,000DWT級貨物船、3,750DWT級オイルタンカー、2,000〜3,000DWT級船舶など限られる。ーー(Thoi Bao Kinh Te Viet Nam、2007/07/07)

 ■ベトナム北部/ハイフォン港に新CT、4000TEU型船寄港可能に 2013年にも2バース計画

 ベトナム政府は同国北部のハイフォン港で、パナマックス級のコンテナ船が入出港可能な大水深コンテナターミナル(CT)の建設を検討している。早ければ2013年にもフェーズ1として2バースを整備する計画だ。ベトナムでは近年、カイメップやチーバイなど大型コンテナ船が寄港可能なCTの建設計画が相次いでいるが、すべて南部に集中。水深の浅い河川港が中心の北部港湾の処理能力不足が指摘されてきた。新計画が実現すれば、これまでフィーダー船が中心だったベトナム北部発着のサービスが大きく変わる可能性が出てきた。−−(「日本海事新聞」、2009年6月24日)


 ≪三菱重工関係≫

 【データ】 三菱重工:ビナシンと大型エンジンの技術供与で合意

 三菱重工はこのほど、ベトナム造船産業公社(ビナシン)と舶用低速ディーゼルエンジン「UE機関」の技術供与について合意した。三菱重工は大型舶用低速ディーゼルエンジンである三菱UEC-LA、LS、LSII、LSE機関の製造、販売・サービスに関するライセンスをビナシンへ供与、成長著しいベトナム造船業界におけるUE機関のシェア拡大を目指す。ライセンス供与期間は2005年〜2014年。このほか三菱重工はビナシン社員に対する設計や組立に関する技術指導でも合意し、来年末に設定したの第1号機完成目標を後押しする。ビナシンにとって大型エンジン製造はデンマークのMAN B&W社の協力で製造したエンジンに続き2機目だが、今回製造する「UE機関」の機関出力2万3,000キロワットは、ベトナムで製造されるエンジンとしてはこれまでで最大となる。
ーー(Saigon Times Daily、(c) Viet-jo.com 2005/11/16)

 
【データ】 三菱重工、船舶エンジンの生産倍増・中国、ベトナム企業活用

 三菱重工業は2010年をメドに船舶用大型ディーゼルエンジンの生産を倍増する。現在は神戸造船所(神戸市)など国内で生産しているが、08年以降中国とベトナムの提携企業でのライセンス生産を始める。生産台数を現在の2倍となる年200台(出力換算で380万馬力)に引き上げ、世界市場で2割のシェア(台数ベース)を狙う。大型船舶向けエンジンの世界シェアは独機械大手のMANグループが7割、2位のバルチラ(フィンランド)が2割で、残りを三菱重工の独自エンジン「UE」が占める。UE拡販には造船の成長市場である中国とベトナムでの供給体制確立が不可欠。このため、最近技術提携した現地企業とライセンス生産の規模などを協議してきた。
ーー(「日本経済新聞」、2007年5月28日)


 ≪IHI関係≫

 【データ】 IHI、ベトナムで船舶設計・全額出資で子会社

 IHI(旧石川島播磨重工業)は、ベトナムに船舶設計の一部を移管する。全額出資で子会社を設立し、3〜4年後に商船の設計の25%前後を移す。造船大手がベトナムに船舶の設計会社を設けるのは初めて。団塊の世代の退職で技術者が不足することをにらみ、国家として造船産業を後押ししているベトナムへの一部移管を決めた。新会社「IHIエンジニアリングマリンベトナム」は本社をハイフォン市に置き、業務を開始した。現地の技術者15人体制で立ち上げ、3年後には30〜40人に増やす。日本からは役員が1人常駐する。
ーー(「日本経済新聞」、2007年7月24日)


 ≪兼松関係≫

 【データ】 兼松、 新規の日本船主向けにベトナム建造船契約締結

 兼松は、2005年3月、新規の日本船主2社とベトナム造船所建造の新造船各1隻の建造契約を締結した。これらはいずれもベトナム造船公社(VINASHIN)傘下のベンケン造船所(Ben Kien Shipyard)で建造される約8,700DWTクラスの一般貨物船(シングルデッカー)で、納期はそれぞれ2006年5月と8月を予定。ベンケン造船所での日本船主向け貨物船建造は今回が初めてとなる。3月にはこの他に、バクダン造船所(Bach Dang Shipyard、VINASHIN傘下)建造の野間海運株式会社向け新造船1隻(10,500DWT型一般貨物船)の契約も締結しており、兼松としては3月中に、ベンケン造船所の2隻と合わせて3隻の日本船主向けベトナム建造船の成約となる。これらは全て、兼松がベトナム造船公社傘下の造船所と機材納入契約を締結し、パッケージ供給を行ない、船舶設計も日本から供給する。2003年7月に発注され日本船主向け第1号となったバクダン造船所建造の野間海運向けの貨物船は、2004年12月に竣工し、現在順調に就航中。本船に対する用船者の評価は高く、ベトナム造船所への信頼が高まったこともあり、今回、新たな日本船主向け貨物船をベンケン造船所で建造する運びとなった。ーー(2005年12月4日)
 (参照サイト):「
新規の日本船主向けにベトナム建造船契約締結」(褐棟シ)

 
【関連記事】 日本に初めて輸出する貨物船が無事進水

 ベトナム船舶工業総会社( Vinashin)は2004年9月25日、日本に初めて輸出することになる船を無事進水させた。この船は全長101.2m、幅18.8m、積載量6,300トンの貨物船で、価格は1,200億VND、Vinashin傘下のバクダン(Bach Dang)造船所で日本側の設計に従って建造された。同船はVinashinが建造中の他の輸出用船舶に比べ積載量は大きいとは言えないが、日本向け輸出用船舶造船戦略の第1号の船となる。同船は内装整備後にNoma海運社に引き渡される予定。
ーー(「Nguoi Lao Dong」紙、2004年9月28日)


 ≪その他・港湾関係≫

 ◆川崎汽船、北米東岸航路でベトナム直接寄港開始

 川崎汽船は2009年8月18日から同社のアジア〜北米東岸航路で新たにベトナムへの直接寄港を開始する。コスコン、陽明海運、韓進海運の各社と共同運航する。寄港地は、シンガポール〜ホーチミンシティー(カイメップ・ターミナル)〜蛇口(中国)〜香港(中国)〜塩田(中国)〜ノーフォーク(米国)〜ニューヨーク(米国)〜ハリファックス(カナダ)〜シンガポール。ベトナムからノーフォーク・ニューヨークへの直航サービスはこれが初めてで、トランジットタイムはホーチミン市からノーフォークまで27日、ニューヨークまで28日と従来より10日前後短縮される。
ーー(2009/7/8)

 ◆
商船三井、ベトナムへの直接寄港を開始

 商船三井は2009年6月からアジア発北米西岸向けサービス「PSX(Pacific Southwest Express)」を改編し、アジア〜北米西岸航路では初の大型船によるベトナムへの直接寄港を開始すると発表した。6月4日の「M/V MOL PREMIUM」カイメップ(東南部バリア・ブンタウ省)発から寄港する。投入するのは6350TEU型コンテナ船6隻。同社はバリア・ブンタウ省カイメップ地区での新コンテナターミナルプロジェクトに参画している。今回寄港する「タン・カン・カイメップ・ターミナル」は、この新ターミナルに隣接している。同社は2011年の新ターミナル開業に先立って、ベトナムへのダイレクトアクセスをいち早く提供する。
ーー(2009/05/20)

 ◆商船三井、新コンテナターミナル案件に参画

 商船三井は、東南部バリア・ブンタウ省カイメップ地区で実施されるコンテナターミナルプロジェクトに参画することを決め、ベトナム・韓国・台湾の出資会社3社と合弁会社設立に関する契約を調印したと発表した。合弁会社の名称は「タン・カン・カイメップ・インターナショナル・ターミナル」で、商船三井の合弁相手はベトナムのサイゴン・ニューポート、韓国のハンジン・シッピング、台湾のワンハイラインズ。合弁会社が運営する予定のタン・カン・カイメップ・インターナショナル・ターミナルは、面積約40ヘクタール、水深約14mで約7000TEU型のコンテナ船まで受け入れが可能。新ターミナルは同国初の大水深ターミナルとなる。2011年2月に開業の予定。
ーー(2009/02/09)

 ◆ナカシマベトナム、第2工場が操業開始

 ナカシマプロペラ(本社:岡山県岡山市)の現地法人ナカシマベトナムは、北部ハイフォン市のディンブーハイフォン工業団地に建設した第2工場の操業を開始した。投資額は1800万米ドル(約18億円)。同工場では船舶用の各種スクリューを生産する。年産能力は500万トン。同社の第1工場は野村ハイフォン工業団地で2007年2月から操業している。
ーー(2009/04/17)

 ◆バクダン造船、LEGタンカーを建造

 ベトナム造船産業グループ(ビナシン)傘下のバクダン造船総公社は北部ハイフォン市で、液化エチレンガス(LEG)タンカーの起工式を行った。積載能力は4500立方メートル。このタンカーはイタリアのMediterranea Di Navigazione社が発注した4隻の液化ガスタンカーの1隻。バクダン造船総公社は、6500トン級貨物船や1万3500トン級タンカーの建造などで実績がある。
−−(2010/05/10)

 ◆越造船企業、日本企業に貨物船引き渡し

 サイゴンシップマリン社は、ホーチミン市7区で同社が建造した6500トンの貨物船「アジアン・インフィニティ」号の引き渡し式を行った。船主は日本のユニトラ海運(東京都港区)。「アジアン・インフィニティ」は全長104.5m、幅17m。サイゴンシップマリンによると、日本向けに輸出する船はこれが初めてで、年末には2隻目の船を引き渡す予定だという。
ーー(2010/06/11)


 ≪韓国・造船関係≫

 【データ】 中部最大のダナン造船所が着工・05年12月

 ビナシン(ベトナム造船産業公社)は2005年12月11日、ダナン市ソンチャー区でダナン造船所建設工事の着工式を行った。ダナン造船所は総面積31.7ha、総工費約6000億ドン(約46億2000万円)で、ベトナム中部最大の造船所となる。2006年9月に完工予定だ。積載量1万5000トンまでの船舶を造船し、積載量3万トンまでの船舶を修理可能なダナン造船所はズンクアット経済区の造船所やニョンホイ経済区に建設予定の造船所とともに、中部造船工業地帯を形成し、国内市場・国際市場の需要に応えていく。
ーー(「Nguoi lao dong」紙、(c) VIETJOベトナムニュース、2005/12/13)

 【データ】 造船大手ビナシン、韓国企業と鉄鋼合弁

 ベトナム国営造船大手のビナシンは、韓国のソンサン社と造船用鋼材を合弁生産することで合意した。3500万米ドルを投資し、北部のハイズオン省に工場を建設する。2008年第2四半期から操業を開始したい考え。
ーー(2006年12月20日)

 【データ】 造船のビナシン、23億ドル相当の受注へ

 国営造船大手ベトナム・シップビルディング・インダストリー(ビナシン)はこのほど、国営海運大手のベトナム・シッピング・ラインズ(ビナラインズ)から2015年までに23億ドル相当の船舶を受注する覚書を結んだ。2007〜10年に19隻、11〜15年に45隻を建造する。ーー(2007年2月15日)


≪韓国・STX関係≫

 【データ】 韓国・STXグループ、ベトナムに大型造船所建設へ

 韓国・STXグループは、ベトナム・ニャチャンに5億ドルを投じ大型造船所を建設すると明らかにした。STX造船、STX持ち株会社、STXエンジンの3グループが企業連合の形態で建設を進め、このほど総理室の認定を受けたという。これを受けSTXグループは、ニャチャンを管轄するカインホア省に造船所建設許可を申請し、早ければ3月中にすべての行政手続が完了する見込みだ。STX造船は、現代尾浦造船とベトナム造船産業総公社(ビナシン)が共同運用している現代ビナシン近くに105万坪の用地を確保している。ベトナムでは最大規模となる30万トンクラスのバルク船や液化天然ガス(LNG)船、液化石油ガス(LPG)運搬船を建造する計画だ。STXグループは昨年初めに調査団を派遣し地質調査を終えており、同10月にはハノイに現地法人を設立しベトナム政府の承認を求めてきた。承認が得られ次第建設に着手する計画で、2009年に1段階、翌2010年に2段階工事が完了すれば、10万トンクラス、30万トンクラスの大型船舶建造が可能となる。
ーー((c)YONHAPNEWS、2007年2月27日)

 【データ】 韓国・STXの大規模案件、認可取り消し ≪続報≫

 南中部カインホア省人民委員会はこのほど、同省バンフォン経済区で計画されていた韓国STXグループによる「STXビナ重工業コンビナート」建設案件の投資認可を取り消すことを決めた。この案件は総投資額5億ドル(約440億円)で、同経済区での外国直接投資(FDI)案件としては最大規模のものだった。同案件は2008年1月に認可を受け、コンテナ船・タンカーの造船所や油田開発設備などの製造工場を建設する予定だった。しかしSTX側から資金調達のめどが立たないと事業実施延期の申請を受け、省側は一定期間の延期を認めていたが、今回認可取り消しに踏み切った。同省人民委はまた、外国企業による医薬品生産用植林案件<投資額2500万ドル(約22億2000万円)>と食品生産工場建設案件<同130万ドル(約1億1500万円)>についても、事業実施の遅れを理由に認可を取り消した。
ーー(2010年7月9日)

 【データ】 韓国・STXグループのベトナム造船所が操業開始

 韓国STXグループのSTXヨーロッパ(拠点はノルウェー)は、東南部バリア・ブンタウ省ブンタウ市のドンスエン工業団地に建設したSTXベトナム・オフショア造船所の操業を開始した。投資額は3000万米ドル(約28億2000万円)。この造船所では年に4隻の中規模船舶を建造することが可能。同造船所ではすでに船舶6隻の建造を受注している。
ーー(2010年4月29日)


 ≪進水式での事故例≫

 兼松受注の船が進水式で事故

 ベトナム造船総公社(ビナシン)が兼松から受注した野間海運向けの貨物船(積載量1万500トン)が、2006年6月17日、北部ハイフォン市のバクダン造船所で行われた進水式の最中に立ち往生するトラブルが発生した。貨物船は野間海運が受領予定の3隻の船の2隻目で、全長110m、幅18.8m、自重2,700t。同日午後7時ごろ、船台から水面まで250mの誘導レールを自走している途中100mの場所で停止し、船体の一部が水に浸かった状態になっている。バクダン造船所のチュー・テー・フン所長によると、気温が40度に上昇して、潤滑作用のあるパラフィンワックス(グリース)が固まったことが、船体が停止した原因だ。同日午後9時に進水救援のためのエットキエウ号(ハイフォン港所属、3,200馬力)が到着したが、進水させることはできなかった。フン所長によると、今月27日の大潮(水深3.7m)まで待つ方針だ。進水式の時には3.4mだった。 

 19日付ラオドン電子版は、「船体には問題ない」と報じているが、タインニエン電子版は、「船底のシステムにダメージがあり、直ちに措置をとらないとさらに深刻な事態になる」と伝えている。これについて兼松は、「船が斜めになっている状態だが、船体への影響はほとんどない」とコメントしている。ベトナムでの進水は、船台で造船し、水面にすべり台(レールなど)で落とす方式で、関係者が最も細心の注意を払う場面だ。今回と同様のケースは、日本でも以前は起きていたが、現在は造船後にドック内で注水する「ドライドック方式」が主流。このため、注目されつつあるベトナムでの造船事業が、今回の事故で直ちに縮小することはなさそうだ。兼松は今回の造船で機材納入契約を交わしてパッケージング供給を行い、船舶設計も日本から供給した。日系商社の中ではベトナムでの造船業の関わりが最も深い。
ーー(「NNA」、2006年6月20日)

 ハロン造船所でも進水事故 

 そのほかに進水式での事故としては、英グレイグ・インベスツメンツが受注した、ビナシンのハロン造船所で2006年4月6日に起きた事故がある。国内建造船として最大の貨物船(5万3,000トン)が進水した直後に障害物に接触、浸水した事故で、船底の裂け目は1.2mに及んだ。喫水の浅いハロン・ハイフォン地区は大型船建造に不向き、との日本の関係者の指摘もある。


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