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タイ政府、渋滞解消に乗り出す
「世界一の渋滞都市バンコク」は、いまや万民の知るところとなっている。バンコクの登録人口は600万人だが、実際には800万人とも900万人ともいわれる。自動車は毎年約10%のペースで増え続け、交通渋滞はますます増加の一途である。ラッシュアワーともなると、信号が何回も「青」になってもクルマはほとんど進まず歩くほうが早い。急速なモータリゼーションで、運河を埋め立ててつくった道路網では、クルマの洪水をさばききれない。国連とアジア開発銀行(ADB)の共同リポートによると、バンコクでは交通渋滞で毎日、約1億5,000万円の燃料が無駄になり、労働者は一年に44日を路上で費やさねばならないと指摘している。タイの経済研究所は、渋滞の経済損失を年間約1,600億円と試算。またバンコクの肺がん発生率は、タイの他の都市に比べ3倍も高いとされる。
タクシン首相は2003年8月28日、交通渋滞緩和策として鉄道網拡充に乗り出し、今後5年間で約2兆7,000億円を投資する計画を明らかにした。バンコクの高架鉄道(スカイ・トレイン)や地下鉄の延長工事に1兆5,000億円、タイ国鉄の線路の複線化に1兆2,000億円を投資する。国鉄は複線化率は3%でしかなく、バンコクと地方を結ぶ全路線4,000kmのうち3,000kmを複線化する計画。またタイ運輸省では2004年をめどに自動車税制を改正する方針。排気量区分を現行の3段階から7段階に細分化するとともに、重量でも差別化し大型車には高率の税金をかける。
一方、高級車についても、購入価格によって高額の税金をかける累進課税を徹底させる。自動車の所有コストを引き上げて渋滞に歯止めをかけるとともに、自動車税の増収分は道路補修などにあてようというもの。もちろん渋滞解消には、計画的な道路網の整備が不可欠だが、バンコクの道路面積率はわずか8%なのに行き止まりの道路が多く、それらを連結する必要がある。また根本的には、高速道路網の整備も欠かせないものとなる。なお現在、高速道路は都心と郊外を結ぶ放射状の建設が進行中である。都心乗り入れを極力抑えるため、環状高速道路にも動きだしている。
さらに、近隣数県にまたがって11の副都心をつくり、高速道路でこれらを結ぶ構想もでてきた。これこそ、渋滞緩和の切り札とみられているものの、既得権や利権がからみ政治的調整は難航を極めるのは必至だ。 |