市場経済原理に基づいたガス・原油供給
ー2010年には、2億9,000万tの原油需要ー
沿海部はLNG、内陸部はパイプライン対応

                  
北東アシア地域開発フォーラム


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 1997年度の中国原油採掘量は1億6,074万トンで、原油消費総量は1億7,499万トン、生産と消費の差は1,425万トンである(しかし実際には、原油の輸出入があり、消費の差は正確ではない=〔下記:「中国原油輸出入変化の趨勢」参照)。中国の主要原油生産地は東北・華東・西北の三地域で、原油の産出量はそれぞれ、7,556万トン、2,960万トン、2,234万トン。そのうち、東北地域における消費量は5,208万トンを占めている。

中国6地域の主要油田・天然ガス田分布

地 域
         石油・天然ガス田の名称

華北地域
 華北石油ガス区、大港石油ガス区、異東石油ガス区、渤海

東北地域
 大慶石油ガス区註1遼河石油ガス区、吉林石油ガス区

華東地域
 勝利石油ガス区、江蘇石油ガス区、安徽石油ガス区、東中国海

中南地域
 河南石油ガス区、中原石油ガス区、江漢石油ガス区、南中国海

西南地域
 四川石油ガス区、桂石油ガス区

西北地域
 慶長石油ガス区、延長石油ガス区、青海石油ガス区、新江石油ガス区
 タリム石油ガス区、トハ石油ガス区、玉門石油ガス区

 (出所:(財)総合研究開発機構、『中国のエネルギー・環境戦略』)


 (註1:大慶油田(黒竜江省)の2003年度における原油生産量は4,840万トンとなった。2002年は5,013万トン。1975年以来、5,000万トンを下回った。この結果、日本との「長期貿易協定」に基づく対日原油輸出も
 2004年以降は50万トンにまで減らす意向を示している。)

 (
:なお、その後の「大慶油田」産原油の対日輸出は2004年1月から停止、日本側の窓口である2組織も解散を決定した。詳しくは下記のサイト参照。)

  
 (参照):本欄「大慶石油・ガス田の位置図



 
中国地域別の原油産出量と原油消費量(1997年)

地  域

石油消費量(万t)

原油産出量(万t)

華北地域

2008.6

1198.6

東北地域

5208.7

7556.1

華東地域

5251.7

2960.4

中南地域

2883.3

2101.7

西南地域

34.4

23.4

西北地域

2112.8

2234.1

合  計

17499.5

16074.1

 (出所:(財)総合研究開発機構、『中国のエネルギー・環境戦略』)


 しかし、原油の消費地域が東南沿海地域に集中しているため、東北・西北地域は当該地域の原油消費のみならず、他の地域に原油を輸送している。すなわち、東北から華北・華東・華北などの経済区へ、また西北から西南・中南・華北などの経済区へ向け、石油流通経路が整っている。

 ちなみに、2010年における中国の石油需要量は2億9,000万トンほどが見込まれ(なお最近、中国交通部が出した予測によると、2010年の石油輸入量を1.5億トンとしている。この予測値に従うと、この時点における中国の石油需要量はおよそ3億2,000万トンほどになる)、そのうち国内生産量が1億7,300万トン、残りの1億300万トンが海外からの輸入となる(註1。したがってこれ以前の段階で、国内の原油供給体制は機能しなくなり、輸入原油を含めた、各地域間の市場経済原理に基づいた原油供給体制へと移行するものと思われる。

 
註1中国の2002年度の原油輸入量は6,940万トン(対前年比15%増=2001年度は6,026万トン)であった。なお、2003年度の原油輸入量はおよそ9,100万トン(前年同期比31%増)であった

 【速報】
 【原油輸入】2005年1〜12月における原油輸入量は1億2,700万トン(前年同期比3.3%増)


 
【データ】
 2004年1〜12月期】 中国の原油輸入量: 1億2,272万トン(前年同期34.8%増)

 (
註1‐1:中国交通部によると、2005年の石油輸入量は1億トンを突破し、2010年には1.5億トン、2020年には2.5億トン〜3億トンになると予想されている。)


 それを見越してか、中国政府は第9次5ヵ年計画において、石油製品需要増に見合った精製能力の増強を計った政策をとることによって、石油製品の輸入を抑制し、原油の輸入割合を増やしている。これは、付加価値の高い石油製品の国産化を最優先した政策で、経済合理性に富む。

 中国石油化学工業の行方  

 中国の石油化学製品のうち、最も必要とされる基礎素材がエチレンである。これは、中国の家電を中心とする組立加工産業が「世界の工場」と化してきたことに起因したものである。中国のエチレン生産の歴史は日本(1958年に開始)についで古く、1962年に始まっている。しかし、その後の発展過程では、その成長は緩慢であり、95年時点のエチレン生産は253万トン(日本の70年当時に相当)にとどまっている。

 そのため、基礎原料から汎用品に至るまでの供給能力が、需要能力に追いつかず、エチレン換算ベースの自給率は50%ほどであった。95年の汎用樹脂の輸入量は530万トンにのぼり、とくに需要が著しい東部・南部の依存度が高い。中国側は資金等の制約から、単独での設備増強はあまり考えておらず、外資の資金と技術導入が大きな力となりそうだ。その際、立地としては需要地に近い東部・南部地域に建設が進められるであろう。今日では、エチレン生産量は外資の増強もあって、急激に伸び2004年は700万(註2に達する見込みである。しかしそれ以上にエチレン需要は伸びており、2004年度におけるエチレン換算需要は1,700万トンに達する。


 【中国のエチレン需給】(2004年度)

 2004年度における中国のエチレン換算需要は1,700万トン。そのうち国内の生産能力は630万トン、残りの1,070万トンを海外から輸入している。内訳は、@韓国:220万トン、A日本:150万トン、B台湾:110万トン、Cアセアン:120万トン、Dその他:470万トン(中東など)ーーなどとなっている。なお、2003年度における石油化学製品の対中国の輸出額は3,502億円(同製品輸出割合は40%)となっている。

 (註1:2003年における中国のエチレン生産量は611万トン、消費量は1,350万トンで輸入依存度は55%であった。また2004年のエチレン消費量は1,780万トン、2005年は1,960万トンが見込まれている。2005年における中国の石油・化工製品輸入量はエチレン1,400万トン相当に達する見込み。)

 (註2:2003年度における中国全体のエチレン生産能力は約595万トンであった。2010年には1,400万トンへ拡大するとの試算がある。これは日本の776万トン(2003年)を上回り(註2-2)、米国の2,776万トン(2003年)に次ぐ生産量となる。)

 (註3:日本の2003年度における中国向け石油化学製品の輸出量は120万トン(エチレン換算)ほどになる。

 (参照):「中国における各種産業基盤の需要予測」(〜2020年)


 【石炭液化事業】

 ◇中国、バイオ燃料や石炭液化の導入計画見直し

 
中国政府はエタノール生産や石炭液化など新エネルギーの導入計画を見直す。エタノールの原料となる食糧や飼料が値上がりし、豚肉価格にも波及し始めたため。石炭液化もそのまま燃料にする方が資源の有効利用になると判断した。今後、食糧を原料とするエタノール生産は認可を停止、石炭液化は審査を厳しくする。エネルギー需要が急増する中国は新たな対応を迫られることになる。中国ではすでに吉林燃料エタノール(吉林省)など4社がトウモロコシなどを原料にエタノールを生産しており、年産能力は合計約110万トン。政府は今後、これ以外の新しい設備を認可しない。すでに稼働している4社の設備については、食糧や飼料にならない植物原料へ転換させる。ーー(「日本経済新聞」、2007年6月12日)

 【参考】 石炭液化油・バイオエタノール、プロジェクト中止か

 国家発展・改革委員会(発改委)の幹部は6月7日、北京市内で行われた会議で進行中の石炭液化油やバイオエタノールに関するプロジェクトを中止する意向を示した。10日付で新京報が伝えた。バイオエタノールは1999年に吉林省や黒龍江省などの4社が重点企業に指定され、2005年末までに4社合計の生産能力が102万トンに達した。しかし今後は新規プロジェクトを認めず、4社は食糧を原料としない代替エネルギーの開発に軸足を移す見通しだ。バイオエタノールをめぐっては胡錦涛国家主席が2007年1月に食糧を原料とすることを避けるよう求めていた。一方、石炭液化油は内モンゴル自治区のオルドス(鄂爾多斯)地区で2007年内にも生産が開始される計画だった。同幹部は「石炭液化油の開発には莫大な投資が必要だ。製造にも多くのエネルギーが必要だが、得られる石炭液化油はわずかで採算に合わない」と語った。
ーー(「中国情報局」、2007/06/11)

 ●神華集団:年産500万トン石炭液化油計画が始動

 中国最大級の石炭企業である神華集団有限責任公司は2004年8月25日、内モンゴル自治区鄂爾多斯(オルドス)地区で石炭液化油の精製プラントの建設が正式に開始したと発表。26日付で香港・経済通が伝えた。このプロジェクトの予定では、年間生産量500万トンを目指す。工期は二期に分かれる。第1生産ラインの完成は2007年7月、第2生産ラインの完成は2010年を目安としている。一期での投資総額は245億元。一期において、年間使用する石炭量は970万トン、それから320万トンの各種油製品を創出する計画。内訳はガソリン50万トン、重油215万トン、LPG31万トン、ベンゼン及び混合キシレンは24万トンを生産予定。
ーー(「中国情報局」、 2004/08/27)


 ここで、一つ問題となるのが、2010年頃の中国原油需要が2億9,000万トンほどと予想されていることである。そのうち、国内生産が約1億7,300万トンと見込まれ、残りのおよそ1億トンが海外からの輸入に頼ることになる。果たして10年後に、1億トンにものぼる原油の供給元が確保されるかである。これはひとえに、中国国内の新規油田の開発(海上油田、西部タリム油田など)と現存油田からの回収技術(EOR工法)の進歩にかかっていることは、言を待たない。したがって不足原油の輸入部分を、すべて原油でまかなうべきかという問題が次ぎの焦点となる。(参照):本欄「西気東輸計画の進捗状況

 すなわち、外資による製油所の新増設が思うような展開をみせない、あるいは供給を上回る需要に見舞われた場合(2003〜2005年がピークを迎える)、当然ながら、石油製品としてのかたちで、輸入せざるを得なくなる。とくに、今後、輸入量の増加が予想される中東産原油は、低硫黄の中国産とは異なり、高硫黄原油であり、脱硫装置や対腐蝕性という面からみても、設備面に課題が残る。したがって、不足が予想される分については、石油製品(ガソリン・ナフサ・灯油・軽油など)という形での輸入も選択肢として十分考えられる




  【補足】表の解説

 下記の〔表〕:「中国原油輸出入変化の趨勢」については、少し説明がいると思われ、(財)総合研究開発機構出版の『中国のエネルギー・環境戦略』ー「中国原油・石油製品輸入の現状」より、以下に補足した。なお、赤字の1993年は石油純輸入国へ、さらに1996年は原油純輸入国への移行を示している。

中国原油輸出入変化の趨勢

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1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999
 輸入: 原油

1,567

1,235

1,709

2,262

3,547

2,732

3,661
   石油製品

1,729

1,289

1,440

1,582

2,379

2,174

2,082
 輸出: 原油

1,943

1,849

1,885

2,033

1,983

1,560

717
   石油製品

372

379

414

418

559

436

645
純輸入:原油

-376

-614

-176

229

1,564

1,172

2,945
   石油製品

1,357

910

1,026

1,174

1,820

1,738

1,437

 
出所:「中国のエネルギー・環境戦略」、(財)総合研究開発機構         (単位:万t)
 
(注:石油製品はガソリン・ナフサ・灯油・ディーゼルオイル・燃料オイル以外に、液体パラフィンな
     どを含む
   :
「−」は純輸出、「+」は純輸入を表す
 
(資料出所:「中国エネルギー統計年鑑」1991-1999、 「中国統計年鑑」1999)

 1993年ー1997年の期間、中国の石油輸入増大は主に原油輸入の増大であった。中国の原油輸入の増大は極めて速く、年平均伸び率が22.66%に達した。一方、原油の輸出量はほとんど増えていない。同期の石油製品輸入は年平均伸び率が8.3%で、輸出も年平均伸び率が10.7%となった。輸出伸び率はかなり高いが、数量が少ないため、石油製品の純輸入量は引き続き増大した。

 1998年、中国の原油と石油製品の輸出入は1997年に比べると幾らか減少した。1998年の国際市場原油価格下落が、原油輸出量減少の主な原因である。一方、原油と石油製品の輸入減少の基本的原因は、国内石油需要増大幅の減少、それに密輸石油製品のシェア拡大にある。

 1999年、中国の石油純輸入量は史上最高の4,382万t(原油+石油製品)に達した。これは従来の記録である1997年の3,384万tを996万t上回り、また1998年にくらべると1,459万tの増大となった。それによって、中国はアジア太平洋地域の重要な石油輸入国の一つとなった。1999年、中国の原油輸入量は史上最高の3,661万tに達し、1998年にくらべると34%増となった。

 これに対して、原油輸出量は前年比54%減の717万tで、20年来初めて1,000万t以下に減少した。石油製品の輸入量は2,081万tで、1998年比4.2%減であった。これに対して、輸出量は52%増で、1998年の424万tから1999年の645万tに増えて、1986年以来の最高レベルに達した。



   
(参照):本欄「中国の産業高度化がもたらす資源争奪時代


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