【提言】
中国・東北地方こそ、経済発展の原動力
重大局面を迎える電力・基礎資源供給

ー工場立地の最適地として「遼東半島」に注目ー

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 世界中の多くの企業がいまや上海市を中心とした「長江デルタ地域」の経済開発区へと足を運び、その周辺に工場を建設している。しかしいくら広大な中国といえども、大小合わせて数千・数万もの企業が一時に、しかも同じような立地場所に押し寄せたならば、どのような事態になるかは、当初から目に見えていた。まさに、「ブーム」に踊らされ、行きつく先は身動きの取れない事態に陥るだけとなる。たとえ、地方政府が電力供給などを保証し(、外国企業を誘致したところで、根本的な電力供給策が確立されない限り、「焼け石に水」である(参照:右記の図「電力需給が逼迫している地域。したがって、企業立地をするに際しては、よほどの緻密な計画性と自然環境の整った両面が、今後の中国における企業立地の必須条件となる。まず挙げられるのは、これまでの概念とは違った観点からの発想である。

 :近年における中国の電力供給不足の遠因としては、ハードのインフラ整備不足の他に、ソフト面、特に「電力料金」の未払いが大きな要因として、指摘されている。中国紙「新京報」(2004年1月6日付)によると、中国では国務院の認可を受け、国家発展・改革委員会(国家発改委)と中国電力監管委員会(SERC、電監会)が2004年1月1日より各種電力料金の価格調整を実施した。その一環として、「SERC」は2003年12月、中国華能集団、中国華電集団、中電投集団ら大手電力会社に対し調査研究を行ったところ、問題点として挙がったのが電力料金の請求システムの不備で、料金の「未払い」が多数あるという。特に「未払い」額が大きいのは政府機関ともいわれている。解決策として、「電力料金」のプリペイドカード導入が検討されているが、金融機関の未発達などから難しいとも。結果として従来の後払い方式を続け、未回収額が膨れ上がっていくという悪循環に陥っている。)

 第一に、工場立地には、それほど大きな後背圏は必要ないーーということだ。
 これまで、多くの企業は中国を広大な市場としてとらえ、人口集積の大きなエリアを抱えた地域へと立地した。しかしこの人口集積がかえって、諸々のインフラ整備の足かせとなり(例えば、電力供給が不足する事態に陥れば、企業活動よりも住民生活安定を第一義的に考慮する)、今日的な状況を生み出している。

 第二に、工場立地の適地は、比較的人口集積の少ない、生活圏も限られたエリアに越したことはない。
 それはある意味では、@半島や港湾のように少なくとも周囲が海などで囲まれているA国境に接し国際河川があるーーなどの狭まれた地域である。つまりこれ以上、物理的に人口が集積しぬくいという状況を形成できることである。今後の中国工場立地はその意味で、皆が集まって「大規模化」するのではなく、「一人でも」、自家発電装置を備えて、「自営」できる体制を築いていくことである(。中国内陸部の人口集積地域などに工場立地した企業は今後、電力の供給カットという、企業採算が危ぶまれる事態も念頭におく必要がでてくる。
 :中国における「自家発電装置」導入については、「自家発電装置」導入における諸注意」(「中国産業レポート」、第18、19回緊急レポート<中国電力事情>より)を参照して下さい。)

 第三に、これは本欄の中心テーマでもある、「資源の最適配分」である。
 ここで意味する「最適配分」とは、これまでのように、中国全土にわたって均衡に資源を配分するという意味ではない(この件については、本欄の「重化学工業への高度な集約化」を参照していただきたい)。すなわち、中国における資源の再配分は市場経済主義に移行して以来、すでに始まっており、この傾向は、国内資源(石油・鉄鉱石・非鉄金属など)の減産が明らかになった昨今において、さらに顕著なものとなってきた。

 第四に、地方政府が責任をもって、「経済開発区」への電力・ガス・燃料油・給水などのインフラ整備を施すことである。
 そのためには、住民の居住地と工場群とを明確に切り離す必要がある。それは特に、電力・ガス・燃料油・給水などのインフラ整備面を意味し、できれば独自のネットワークを築く必要がある。そのためにも、上記した「第一」と「第二」の項目の遵守が重要な意味をなす。

 これら項目を鑑みると、自ずと答えがでてくる。それは「遼東半島」の再開発である。この地域のなによりの強みは、後背地に豊富な資源産地(特に、石油・ガス・石炭・鉄鉱石など)を抱えていることである。したがって電力供給という面からみれば、長江デルタ地域よりも安定的な供給は十分可能である(。この地域で不足気味なものといえば、半島という特性からくる「水不足」となる。特に、「工業用水」は深刻なようである。したがって、大量の「用水」を使用する業種が立地するのは難しい。今日、北京や天津などのエリアも水不足は深刻で、特に「飲料水」は周辺人口が膨大だけになおさらであり、「水質」自体も悪化している。いまや海水の「淡水化」装置を導入してこれに当ろうとしているが、将来的には、日本などからの飲料水専用「タンカー」による輸送(この構想は中国の水質悪化がさらに深刻になれば実現性の高いものとなろう)でカバーするのも一つの手だてとなろう


 ≪「水バッグ」による海上輸送システム

 災害や渇水による水不足地域への緊急給水手段として「水バッグ」による海上輸送システムが注目を集めている。当システムは、水資源機構と日本郵船子会社のMTI(Monohakobi Technology Institute)が開発したもので、「水バッグ」による海上輸送方式である。同システムの海上輸送実験が2007年3月に、和歌山県新宮市から徳島県阿南市までの区間で行われた参照サイト1試験の結果は、「水バッグ」内に海水が混入した参照サイト2)ことにより再試験が行われることになった。

 【記】 なお、同システムによる「飲料水」の海上輸送は、輸送中における海上波浪の衝撃などによる「バッグ」へのダメージが強く、長距離輸送には不向きである。やはり将来的には、「飲料水」専用運搬タンカーによる海上輸送が最も有効な手段となろう

 【註】 MTIが開発した「水バッグ」は高強度の複合繊維をウレタン樹脂でコーティングしたもので厚さ約2mm、全長44m、約3,300人分の一日の生活用水に匹敵する1,000m3分を一度に運べる。将来、3万m3の運用を目指す。

 (参照サイト1):「日本初の水輸送用バッグによる海上水輸送試験の実施
          
(独立行政法人 水資源開発、凱TI)
  (参照サイト2):「水輸送用バッグへの海水混入に関する調査結果について
          
(独立行政法人 水資源開発、凱TI)




 (参照サイト):「中国・旱魃状況」(中国情報局編)

 :天津市は今後3年間に海水淡水化工場を3カ所に建設する。2004年度中には大港区で日産10万トンと天津開発区で日産2万トンの建設に取り掛かる。2006年には渤海化学工業グループが塘沽に日産20万トンの淡水化工場を建設する計画。3工場が完成すると、環渤海地区の水不足はある程度緩和されると期待されている。現在、天津では生活・工業用水は主に市外の河川から引いているが供給力に限界がある。)

 なお、できあがった製品を中国内陸部まで輸送するという問題があるが、第一の輸送経路としては、航路を利用して大連港から上海や広州へ搬送する。第二の輸送経路としては、全国的に整備が進みつつある高速道路を利用する(参照:本欄「中国の高速道路整備状況)ーーことなどが考えられる。さらに、大連港からは船舶による日本や北米・欧州などへの輸出も可能である。

 :2004年1月〜3月までに電力の供給制限を実施した地域はほぼ中国全土に及んでいる。そのうち、電力供給の制限を実施していない地域は、@新疆ウイグル自治区 A海南省 B東北地区3省ーーなどである。上海周辺など沿海地域では工業生産の伸びに比例して電力の供給不足が発生している。また内陸部では水不足による水力発電量が例年よりも落ち込んでいる。)

 (
註2:参照サイト「遼寧:旱ばつ予測で迫られる農作物への対策」、「中国情報局」、2004年6月14日




 中国:電力不足で発電機の輸入が大幅増

 中国では電力不足のため発電機の輸入が大幅に増加している。天津市税関統計によると、2004年1〜5月の輸入発電機(または発電ユニット)は389台、輸入額は2,946万ドルに達している。輸入先は日本、アメリカ、EU諸国など。また、福建省のアモイ市税関によれば、1〜5月同市の発電機ユニット輸入台数は1,023台、輸入額は883万ドルになる。中国国内の電力不足に対して、企業が自家発電で対応する姿勢がより鮮明になっている。中国政府も発電機の輸入税率を低減するなどの措置をとっている。その一方で、燃料となるディーゼル油やガソリンなどの供給不足も深刻化しており、抜本的な対策が待たれる。


 
遼寧省初の原子力発電所プロジェクトが始動

遼寧省初の原子力発電所―「遼寧省紅沿河原子力発電所」(瓦房店市)の前段階工事が完工した(11月5日)。遼寧省紅沿河原子力発電所は2003年、国の認可を経て、遼寧省・大連市と中国電力投資グループが連携して同プロジェクトを開発・建設することで合意した。同プロジェクトの計画発電総容量は600万kwで、投資総額は600億元にのぼる。そのうち、第1期プロジェクトは260億元を投資する計画で、2基の百万kw級原子力発電ユニットを設置する予定。すべてのプロジェクトが竣工した場合、年間発電量は525.6億kwに達する。
ーー(「中国「人民網」、2004年11月)

 (参照):本欄「中国、原発2020年までに30基新設



  
≪長江デルタ地域の電力事情≫ 

 (参照サイト):「華東地区電力事情について(JETRO Shanghai、2006年度)



  ≪中国東北地域の経済・工業開発区≫

  (参照):本欄「中国・丹東市「鴨緑江」沿岸開発区構想

  (参照):本欄「
天津経済技術開発区位置図」 

  (参照):本欄「遼寧省の高速道路ネットワークー」
          【
遼寧省の主な経済技術開発区

  (参照):本欄「
瀋大(瀋陽〜大連)高速道路沿線地図


 
 (なお、大連地区の「経済開発区」については、各種団体のホームページ等を参照して下さい。)

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