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この中国側「丹東」と北朝鮮側「新義州」の、それぞれの経済開発構想は、まず中国において、1992年に国務院の批准をうけて、「辺境経済合作区」に指定されている。これは、「商業貿易観光区」「金泉工業区」「保税倉庫加工区」からなっている。
鴨緑江大橋(写真をクリック)
また、北朝鮮側では、2001年2月3日に金正日総書記が中国・上海経済開発区視察の帰路、新義州に立ち寄り、企業視察するなど、一時期、「新義州と隣接する中国・丹東を合わせた中朝両国にまたがる、新たな経済特区を設置する」のではないかとの憶測を呼んだ。しかし、一時期の熱はさめたが、現地の実体的結びつきは深まっている。現在、中国国内で、北朝鮮と交易を行っている中国企業は、丹東市に本社あるいは支店を置いている。また、丹東市の対北朝鮮交易(2000年現在)は、輸出額で1億1,200万ドル、輸入額で580万ドルと徐々にではあるが増加している。両市間の主な合弁事業としては、丹東市からの飲食業、水産加工、プラスチック加工など、およそ10社が進出している。一方、新義州からは、レストランの合弁事業が丹東市で経営されている。(参照:「鴨緑江大橋」写真)
【平壤〜丹東、国際旅客バス運行開始】 北朝鮮の平壤と中国の丹東間を結ぶ長距離国際旅客サービスが2004年6月21日から運行を開始した。このサービスは土・日曜を除く毎日運行する。バス運行は中国と北朝鮮を往来する旅行者および観光客のためのもので旅行に必要な各種サービスと休息施設などが備わっている。運営は朝鮮ウルリム運送合弁会社と丹東の中国国際旅行社が当たる。
(参考):「最近の中朝国境交易の動き」
北朝鮮当局は最近、中朝国境の物流ルートを経済特区の「羅津・先鋒」地域と、特別行政区に指定された「新義州」との二元化を図っている。その他の地域で、これまで行われてきた個人による交易(ボタリ貿易)や密輸を厳しく統制している。
この「丹東」と「新義州」をまたがる「経済特区」新設の利点は、中国側丹東市の人口が市街地で70万人、周辺地域を合わせても総人口が240万人と、経済特区としての比較的適正な人口規模である。また今後、中国進出で問題となる、電力供給(註2)・飲料水・工業用水などの工場稼働(註3)に必要な最低限のインフラが、鴨緑江をかかえる河口に位置することから比較的豊富であり、産業立地に適している(参照:本欄「丹東市「鴨緑江」沿岸開発区構想」)。
(註2:中国側の丹東市は、最近設定された北朝鮮側の「新義州特別行政区」開発に対して、支援する方針を固めている。具体的には、鴨緑江河口にある東港火力発電所(出力75万kw)の余剰電力50万kwを支援する計画。代金は石炭などの現物出資が考えられている。送電方式は、鴨緑江の川底に送電ケーブルを敷設することで対応できる。これは北朝鮮への原油支援でも同方式が用いられている。)
(註3:「丹東」には「丹東黄海汽車公司」の自動車部品工場や「第二汽車公司」(東風汽車)のトラック部品工場などの部品メーカーが多数立地しており、金属加工業などに適している(註4)。)
(註4:「丹東」の工業立地の比較優位は何といっても、鴨緑江の河口に位置することからくる水資源の豊富さからもたらされる工業用水、電力供給体制の確保にあるといえる。今後、工場立地の加速度的な増加が予想される北京や天津〔京津塘〕地区は、首都圏に位置するところから居住人口も大規模であり、河川や地下水の水量不足からくる深刻な渇水が懸念される地域でもある。そのことは今後、工業用水と飲料水との供給配分が重大な問題として、表面化してくるものと予想される。したがって、大量の「用水」を使用する業種が、都市化の進んでいる地域に工場立地を選択するうえでの最大の関心事は、最低限必要となる電力・用水(註5)の確保となってくるであろう。)
(註5:2003年度における上海市は猛暑のため夏の間、断続的に電力供給が制限され、操業停止などに追い込まれている日系企業も出ている。また中国東北地域は水不足に悩まされている。)
高速道路(大連〜庄河間)
さらに、遼寧省の東端に位置する丹東は今まで、陸の孤島に近い交通の不便なところであったが、ここ1〜2年で遼寧省各都市と高速道路で連結される。具体的には、省都・瀋陽、また中国東北随一の港湾都市・大連とは途中の庄河市までが完成しており、残る丹東までの区間も2年後には完成する。さらには、錦州から遼東半島を縦断して走っている瀋大(瀋陽〜大連)高速道路に交差するかたちで海城を経由して(すでに錦州〜海城間は工事が始まっている)、将来的には丹東まで高速道路が延伸される。
一方、新義州は北朝鮮の中にあっても、金属・化学・繊維・製紙・靴などを主軸として、他の地域よりも相対的に産業基盤が整っている。したがって、この「特区」で製造された製品は「鴨緑江大橋」を通じて、中国側の丹東駅まで輸送され、そこから丹東港や大連港、さらには鉄道で中国各地まで輸送可能である。また将来的には、三方向で繋がれる高速道路によって、同様なことが可能である。
このように、産業・交通インフラの面からみても、「丹東」と「新義州」をまたがる「経済特区」新設の基盤は徐々にではあるが、できつつある。そして何よりの利点は、朝鮮半島と中国・遼東半島とを連結する結節点に位置するという、将来の北東アジア交通の要衝に位置することである。
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