西部大開発におけるインフラ整備

 西部大開発の基礎となるのは、80年代にトウ小平が提起した「二つの大局」という考え方である。「二つの大局」とは、東部沿海地域を優先的に発展させた結果生まれるであろう経済格差是正について、発展した地域が発展の遅れた地域を支援し、その開始時期20世紀末、中国社会が「小康水準」に達した段階で重点的に提起・解決すべきとするものである(「
中国の西部大開発について」、在中国日本国大使館より)             

 インフラ建設については、2000年から「10大プロジェクト」が施工された。その内訳としては、

 1)西安−南京鉄道の
西安−合肥区間整備
 2)
重慶−懐化間の鉄道整備
 3)西部地域の自動車道路整備
 4)西部地域の空港整備
 5)
重慶市モノレール建設
 6)ツァィダム盆地の
天然ガスパイプライン建設(西気東輸)
 7)四川省紫坪★と寧夏の黄河砂坡頭の
水利建設(南水北調)
 8)中西部の耕地の樹木や草の栽培用地への転換、生態環境整備と苗木栽培
 9)青海省カリ肥料プロジェクト
 10)西部地区大学のインフラ建設

 −−など、交通インフラに重点が置かれている。

 このうち、自動車道路の面では、国道主幹線と省・自治区幹線の建設を速め、貧困地区の自動車道路と主幹線との連結を大いに支援する(なお、中国政府はその後、新たに「
14項目の重点プロジェクト」を追加することを明らかにしている)。

 主な自動車道路、橋梁プロジェクト(「
西部大開発」、ChinaNetより)

 重慶〜貴州高速道路、重慶〜(四川省)合川高速道路、
重慶〜(四川省)万県高速道路、陜西の銅川〜黄陵間一級道路、陜西の宝鶏〜牛背ハイグレード道路、陜西の楡林〜靖辺砂漠高速道路、陜西の百安〜漢中高速道路、西安〜禹門口高速道路、 良〜禹門口高速道路、甘粛の白銀〜蘭州高速道路、讒口〜柳溝河高速道路、柳溝河〜忠和高速道路、尹家荘〜中川空港ハイグレード道路、古浪〜永昌ハイグレード道路、新疆のウルムチ〜クゥイトン(奎屯)高速道路の継続建設、新彊国道218号線のコルラ(庫爾勒)〜トクシュン(托克遜)ハイグレード道路、クゥイトン〜サリム(賽里木)湖ハイグレード道路、新疆の小草湖〜コルラ・ハイグレード道路、寧夏の石中高速道路、寧夏の古王一級道路、寧夏国道109号線高速道路の南北延長プロジェクト、安徽の合肥〜安慶高速道路、重慶市の鵝公岩長江大橋、四川省の嘉陵江複線橋、陜西省の西安〜安康道路の秦嶺特別長路トンネル    

       
    (参照サイト):「
中国に対する2001年度円借款供与=外務省ホームページ
    (参照サイト):「
中国に対する2003年度円借款供与=外務省ホームページ
     



 対中国ODA削減、政府間で工程表策定へ
 日本政府は、中国向け政府開発援助(ODA)の打ち切りへ向け、段階的に削減を進めるための工程表を、中国側との間で策定する方針を明らかにした(2005年2月12日)。政府は中国に対するODAを段階的に縮小・終了させる方針で、@北京オリンピック(2008年)や、A上海万博(2010年)が目処として挙がっている。一方で、「中国側の理解を得た上」で行う方針である。

 
【対中円借款の2008年度停止、自民が了承】
 町村信孝外相は3月17日午前、自民党の外交関係合同会議で、中国への円借款の新規供与を北京五輪を開催する2008年度に停止する方針を報告し、了承された。04年度分の供与額に関しては、前年度比11%減の約859億円と説明した。政府は月内に04年度分について閣議決定する予定。4年連続の削減となる中国向けは、国別供与先として前年度の3位から4位に落ちる。外相は合同会議で「15日に李肇星外相と電話で話し、北京五輪までに終了する方向で協議することで一致した。日中間で基本的な合意はできた」と説明。17日午前の参院予算委員会でも「北京五輪前までに円借款の新規供与を終了する方向で大筋合意した」と語った。政府は今年1月、新規円借款を段階的に絞り込み、08年度に停止する案を中国側に提示。中国側も基本的に受け入れた。
ーー (「日本経済新聞」、2005年3月17日)


≪2004年度≫

 
2004年度対中借款、858億7500万円

日本政府は2004年度(2004年4月1日ー2005年3月31日)の円借款として、857億7500万円(前年度比11%減)を中国に供与する。両国政府による調印式が3月29日に行われた。
 内訳は、
 @ 陜西省の一部都市部、湖南省長沙市、貴州省貴陽市の水環境整備(398億400万円)
 A 陝西省西安市、内蒙古自治区包頭市、新疆ウイグル自治区伊寧市の都市環境整備(344億9500万円)
 B 四川省の植樹・造林(65億300万円)
 C 内蒙古自治区の人材育成(50億7300万円)
 −−など。
 これら借款は年利0.75〜1.5%で、償還期間は30〜40年(10年の据置期間を含む)。2005年3月末現在、日本政府がこれまでに円借款を供与・承諾したプロジェクトは、累計で232プロジェクト・3兆1330億円に達した。


≪2005年度≫

 2005年度分、中国への円借款740億円決定
 政府は2006年6月6日午前、2005年度中の閣議決定を見送って“凍結”していた中国向け円借款の実施を決めた。新規供与額は、前年度比約120億円減の740億円程度。政府は与党の了解を得た上で、6月9日にも閣議決定する。
会議では、2008年の北京五輪までに対中円借款の新規供与を終了することも再確認した。2004年度分は859億円だった。


≪2006年度≫

 2006年度分、中国への円借款623億円決定≪New≫

 政府は2006年度の円借款の供与を決めた。そのうち2008年の北京五輪までに新規円借款の中止を決めた中国向けは、623億3,000万円(前年度比16.7%減)で、7件すべてを上下水道や大気汚染改善など環境案件とした。

 (参照サイト):「
中国に対する円借款の供与(2006年度分)=外務省ホームページ



 ≪対中、円借款の行方≫

 対中円借款の年度内決定見送り表明・外務副大臣

 塩崎恭久・外務副大臣は2006年3月23日午前の記者会見で、2005年度分の中国向け円借款の今年度中の閣議決定を見送る方針を表明した。塩崎氏は「政府・自民党の中でも様々な議論があり、調整にしばらく時間がかかる」と述べ、東シナ海のガス田開発や小泉純一郎首相の靖国神社参拝などをめぐる日中間の対立が背景にあることを示唆した。同日午前の自民党の外交関係合同部会でも同様の考えを示した。中国向け円借款は年度末に閣議決定するのが通例で、実際に資金を供与する時期も遅れることになる。2004年度の対中円借款の実績は約859億円。日本政府は2008年の北京五輪までに新規供与を終了する方針で、2005年4月の日中外相会談で中国側も了承した。
ーー(「日本経済新聞」、2006年3月23日)

 ■ 中国紙、円借款を高く評価「貧富格差の縮小に貢献

 日本政府が2005年度の対中円借款の新規供与について、年度内の決定を見送ったことに関連して、3月24日付の「中国青年報」は日本からの円借款を含むODA(政府開発援助)を高く評価する論説を掲載した。「中国青年報」はODAのメリットを紹介。主な方式となる有償資金援助(円借款)について、「返済する必要があるが、低利で償還期間が長い」と説明。さらに、日本のODAの実施規模も大きかったと評価している。その上で、「日本からの巨額のODAがインフラ建設や人材育成など差し迫ったニーズに貢献してきたことは誰も否定できない」「人々の生活水準を向上させたり、沿岸部と内陸部の貧富格差を縮小するのに役立った」などと強調している。
ーー(「中国情報局」、2006年3月24日)

 ■対中円借款凍結解除、首相「総合的な判断」

 小泉純一郎首相は2006年6月6日、2005年度分の対中円借款の凍結解除について「総合的な判断だ。中国の発展は日本にとっても望ましいことだ。中国も日本の支援、協力を望んでいる」と述べた。円借款は08年までに終了することで合意済みであることにも触れ、「(中国は)了解している。それまでに必要な支援を中国が望む限りやっていった方がよい」と説明した。首相官邸で記者団に語った。安倍晋三官房長官は記者会見で、政府・与党内に円借款供与への反対論があることに関して「援助は国民の税金を原資としており、国民の信頼がなければ持続的な支援は難しい。意義などを国民に説明していく」と理解を求めた。
ーー(「日本経済新聞」、2006年6月6日)



 【データ】
 
・2003年における日本の政府開発援助額は総額8,578億円、うち中国へは1,017億円(無償:51億円)。

 ・
1979年から2003年までの中国に対する政府開発援助(ODA)は約3兆3,334億円

 
【内訳】 
 ・円借款
  約3兆0,472億円(2003年度末までの交換公文による貸付供与限度額の累計)
  〈このうち、貸付実行額は約2兆0,964億円。貸付に対する償還額は元利合計で約9,401億円

 ・無償資金協力
  約1,416億円(2003年度末までの交換公文による供与限度額の累計) 

 ・技術協力
  約1,446億円(2003年度末までのJICA経費支出実績額の累計(留学生受入れや各省庁による
  技術協力実績を除く) 
                 
 
〈参照サイト〉:「対中国ODAに関する基礎資料」(外務省・HP) 
           
(アジア→中国→対中ODA実績概要=pdf)         


 (なお、2003年度の円借款の供与により、これまでにわが国が中国に供与した円借款(特別円借款含むの総額は交換公文(E/N)ベースで3兆4,71億8,100万円となる
ーー「外務省」、中国に対する円借款の供与(2003年度分)について、平成16年3月30日より
 ・2003年度分(実際の執行は04年度以降)の中国への円借款額は967億円(前年度比約20%減)にすると伝えた。
 ・中国側からの返済は順調に行われているが、現在は年換算の返済額は供与を上回っている。
  (中国からの返済額は、02年度が558億円、03年度は652億円。金利は1%以下、返済期間は最長で40年)
 ・その他、第三機関(国際開発銀行=旧海外経済協力基金」(0ECF))による商業貸付が約3兆円ほどある。

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