●ロシア、石油安定供給中国に保証・送油管は対日重視
ロシアのフラトコフ首相は2004年9月24日、モスクワで温家宝・中国首相と会談した。ロシア側は中国に対する石油供給の公約を履行する意向を表明、天然ガスの共同開発でも協力強化で合意した。東シベリアの石油を極東部へ運ぶパイプラインの建設事業では日本が参加表明したナホトカルートの優先を確認、中国側の要請を受け入れなかった。フラトコフ首相は会談後「対中石油供給は企業の問題」としながらも中国側の懸念を取り除くため政府として努力すると語った。ロシアの対中石油供給は石油大手ユーコスが20日、中国石油天然気集団公司(CNPC)向け輸出を年末まで一時停止すると発表したことで国際石油相場の高騰要因になっていた。中ロ政府が基本合意している中国向け輸出量は今年550万―650万トン(日量11万―13万バレル)で、2005年に1000万トン、06年は1500万トンに達する見通し。大部分はユーコスが鉄道貨車で輸送している。
ユーコスは輸出停止の理由を「ロシア政府による銀行口座凍結で鉄道料金や輸出関税(1トン当たり160ドル)を払えないこと」とし、政権との対立に中国を巻き込む動きに出ていた。フリステンコ工業エネルギー相は首相会談後、ユーコスに限らず他の石油会社が中国に石油を供給する可能性を示唆した。中国駐在のツィプラコフ通商代表は「中国に石油供給企業の多様化を提案中」と述べ、最大手のルークオイルや国営ロスネフチの社名を挙げた。ロシア政府はユーコスが求める銀行口座の凍結解除には応じない方向で、同社への締め付けを維持しながら対中公約を履行する構えだ。これに関連して、ロシア国営鉄道会社のファデエフ社長は9月23日、2010年までに300億ルーブル(1100億円)を投じてチタ州から中国国境まで360kmの鉄道近代化と複線化を進める構想を公表した。極東パイプラインに関して、フリステンコ氏は9月24日、(東シベリアの)タイシェトーナホトカ・ルートの建設を最終的に政府承認した後でのみ、中国向けルートの決定は可能になるとの考えを示した。ーー(「日本経済新聞」、2004年9月25日=図も=)
(参照サイト):「中ロのエネルギー協力の進展について 外交部報道官」(「中国人民網」、2004年9月29日)
●ユーコス、石油輸出一部(中国向け2/3)停止へ
ロシア石油大手ユーコスは2004年9月20日までに、鉄道による中国向け石油輸出の約2/3を停止することを決めた。追徴課税未払い問題で銀行口座が凍結され、10月以降の鉄道輸送代金支払いが困難なため。中国向け石油輸出の日量15万バレルのうち、中国石油天然ガス集団公司(CNPC)向け10万バレルの鉄道輸出の停止を決めた。中国石油化工(CINOPEC)への5万バレルの供給は当面続けるという。いつから輸出が停止されるかは不明。
●鉄道で石油先行輸出へーロシア、パイプライン完成前
ロシア東シベリアから日本海までの石油パイプライン計画で、ロシア側が、パイプライン完成前にバイカル湖の北側を通るバイカル・アムール鉄道(バム鉄道)を使って石油を先行輸送する計画の検討に入ったことが10月10日、明らかになった。ロシア政府の関係筋が語った。日本と中国が優先着工で競合してきた同パイプライン計画は、日本向けが優先されることが濃厚となっているが、バム鉄道活用が政府論議に正式に上ったことで、ロシア側の「日本向け優先」姿勢がより強まったともいえ、日本側も関心を寄せている。バム鉄道は今回のパイプライン計画の起点でもあるシベリアのタイシェトから極東、日本海沿岸のソフガバニに至り、全長は約4,300km。一部は同パイプライン計画のルートとも重なる。関係筋によると、10月5日にプーチン大統領も同席して開かれた産業、経済、資源関係閣僚と石油、ガス企業幹部の会議で、同鉄道利用の石油輸送計画が報告され、検討対象とすることが承認されたという。今のところ輸送経路はタイシェトから極東部の同鉄道コムソモリスクナアムーレ駅、またはティンダ駅で支線を経由してシベリア鉄道に乗り入れ、ウラジオストク近くのペレボズナヤ港から輸出するルートが検討対象となっている。実現すれば、年間1,000〜1,200万トンの輸送が可能になる。ロシアのパイプライン建設会社トランスネフチが今春、明らかにした計画によると、同パイプラインの日本向けルートは総延長4,130km、輸送量は年間5,000万トン。年内にもロシア側が正式決定、来年にも着工との見方が出ている。同関係筋は、日本向けルートが正式決定し、双方が合意すれば即、バム鉄道輸送を開始できるとしており、場合によっては来年にも日本向け輸出が始動する可能性もありそうだ。ーー(「東京新聞」、2004年10月11日)
(参照):本欄「北東アジア貿易回廊」(社)北陸建設弘済会より)
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