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2003年度の当初における「大慶油田」の原油生産量は、計画では4,800万トンであった。したがって、計画よりも40万トンほど上積みされたことになる。しかし中国当局の今後の資源保全傾向を見る限り、長期的には年産4,000万トンを割り、3,500万トン前後(註1)までの低下は十分考えられる。またこの数値のほうが「大慶油田」にとっても望ましいであろう。したがって、不足分は当然、海外からの輸入原油となる(註2)。
(註:なお、大慶油田における2004年度の生産計画は4,630万トンとさらに縮小している。)
(註2:最近、黒竜江省の大慶市長が新華社通信に語った内容として、@6年後の2010年には3,000万トンまで減産A今後7年間毎年7%ずつの減産を続け、その後さらに減産し2020年には年産2,000万トンとするーーなど、が紹介されているが、これは当方が当初見込んでいた減産量を大幅に上回るものである。ーー2004年3月)
(註3:なお、その後における大慶油田の産出量については、新規の油田開発などによって、新たに年間300万〜400万トンの増産が可能となり、再度年産5,000万トンの回復も可能になったもよう。)
(註4:また最近になって、埋蔵量が1,000億m3の天然ガス田が発見され、2010年までに年産100億m3の産出が可能という。これは石油換算で1,000万トンになる。)
したがって、ここまでの原油産出量の低下が意味することは、まず@日本など海外への原油輸出はほぼ不可能となる。さらにA中国国内でも、これまでのような他地域への「割り当て」は難しくなり、東北3省をエリアとした「原油」の供給配分となろう。この海外からの輸入原油の対象地域は、中国の東部沿岸地域や南部沿岸地域となる。しかし場合によっては、「大慶油田」がある中国・東北部地域でも、ロシア・東シベリア地域のアンガルスク油田からの供給も十分考慮に入る。このルートについては現在、日本が推す「太平洋」ルートと競合しているが、差し迫った逼迫感から勘案しても、最終的にはまずは「大慶」ルートで落ち着くものとみられる。その根拠としては、
@ 原油の可採埋蔵量(現行では、どちらか一方のルート分しか供給量がない)。
A パイプライン等のインフラ敷設にかかわる時間的な制約(中・ロにとっては早期実現が好ましい)
B 最終的な決め手は、中・ロ間における契約締結、がものをいうであろう。
【解釈修正】 この中ロ間を連結する「アンガルスク〜大慶」石油パイプライン計画は当初、中ロの「堅い絆」で結ばれたものとみられたが、双方の結びつきはかつてほど強いものではないようだ。なにより、ロシア側の現政権における経済至上主義が強く作用している。したがって、現状におけるルート選定の流れは、日本やロシア・国営石油企業が推す「太平洋」ルートへと、大きく移行するようだ。)
【解釈修正の再修正】 やはり当初に述べたように、中ロ間における絆は依然として強いようだ(歴史はそんなに簡単に変わるものではない)。
ーー中国石油天然ガス(CNPC)は2004年12月30日に北京市で記者会見する。「きわめて重要な発表」と説明している。ロシアのプーチン大統領が「ユガンスクネフテガスの運営に中国企業が参加するかもしれない」と発言しており、中国石油が経営参画を発表するのではないかとの観測が出ている。中国石油の幹部はユガンスク株が競売にかけられる直前の12月17日にガスプロム幹部と秘密裏に会談した。中国紙は「会談で中国石油がガスプロムに出資することで合意した」などと報道した。ガスプロムはユガンスクを落札したバイカル・フィナンシャル・グループを買収したロスネフチを吸収すると見られている。中国外務省の劉建超副報道官は12月23日の会見で、「ロシアと中国がエネルギー分野における戦略パートナー関係を強化していく決定に変わりはない。プーチン大統領に賛意を表する」と述べた。−−(「日本経済新聞」、2004年12月24日)
【補足】 なお、「太平洋」ルート一本に絞られた場合、先行して「ナホトカ」へのパイプラインが敷設され、その後、中ロ国境の最短距離で本線から分岐して「大慶」へとパイプラインを敷設することも当然、中国側は念頭においているであろう。そのほうが、従来の単独案の「アンガルスク〜大慶」ルートよりも大幅なコストダウンが計れる。なにしろ、「太平洋」ルートであれば、通過する領土の位置から資金の大半は日・ロ間の共同事業で賄われることになる。パイプライン完成後は、国際原油価格で、船舶による輸入で十分対応できる。さらにその後の状況(政局)次第では先述した、本線から分岐した「大慶」ルートの原油(すでにロシア民間石油会社「ユーコス」と中国国営の「中国石油天然ガス集団公司」との間で、中国・大慶に至る石油パイプライン敷設に関する基本合意が調印されており、ロシア側としても将来的にはこれが「担保」となって、何らかのかたちで「大慶」ルートを敷設する必要がでてくる)を、ロシア領土内のパイプライン敷設料の名目で価格に上積みして輸入すれば、当初の計画通りに納まる。いまさら、日本側が推す「太平洋」ルートと競うことはしないであろう。まさに日本側の提案はロシアはもとより、中国にしてみても「渡りに船」、願ってもないことに違いない。--(2004年2月27日 記)
(註:なお最近の中国紙の報道によると、ロシア側は「アンガルスク〜ナホトカ」間を結ぶパイプラインを2本(途中から「大慶」へ)敷設する案が浮上してきたことを報じている。)
(参照サイト):「中ロパイプライン:ロ石油会社が折衷案を提案」、(中国情報局」、2004年3月4日付)
石油や天然ガスの開発はロシア企業にまかせ、
国際市場での買い付けに徹したほうが得策な時代に
【ロシアの今年の大規模資源開発入札、外資参加認めず】
インターファクス通信によると、ロシアのユーリー・トルトネフ天然資源相は2005年2月10日、極東・サハリン沖の石油・天然ガスを開発する「サハリン3」プロジェクトなど、今年予定される、大規模な天然資源開発の入札に、外国企業の参加を認めないと語った。当地の外交筋によると、石油パイプライン「太平洋ルート」に原油を供給する東シベリア油田の入札でも、外国企業が参加できない恐れも出てきた。新たな政府方針によると、入札への参加は、少なくとも51%以上の株式を露資本が所有している企業に限られる。これにより、「サハリン3」(エクソンモービルが開発参入を企図)のほか、バレンツ海油田、露最大の未開発金鉱床「スホイ・ログ」、東シベリアのウドガン銅山など、大規模な開発案件への外国企業の直接参加が不可能となる。ーー(2005年2月)
【註】 1週間もしないうちに、ユーリー・トルトネフ天然資源相の発言が変わった。2月16日までに、「中小規模の開発に関しては外資参入を認める。北極海沿岸開発では外資の参加は不可欠」と述べ、事実上の単独開発を諦めたかたちとなった。遅かれ早かれ、大規模開発にも同様な発言が続くであろう。
【「シベリア油送管、日本の融資当てにせず」・ロ国営会社社長】
ロシア・東シベリアから太平洋岸に至る石油パイプライン建設について、事業主体のロシア国営パイプライン会社「トランスネフチ」のワインシトク社長は4月11日、日本の融資を当てにせず、自己資金などで賄う方針を明らかにした。インタファクス通信が伝えた。東シベリア原油を極東に運ぶパイプライン建設をめぐっては日本と中国が競合。トランスネフチが建設資金を自己調達すれば、資金援助を武器に優先供給確保を目指す日本の戦略は危うくなる。だが社長発言は、日本の一層の援助を引き出すのが狙いとの見方もある。ワインシトク社長は、パイプラインの総工費は約115億ドル(約1兆2400億円)で「既に約80億ドル分を確保した」と説明。さらに「国庫や日本の融資を当てにするつもりはなく、自己資金と、アジアや米国向けの債券発行で賄う予定だ」と述べた。ロシア政府は昨年末、日本が求める太平洋岸に至るパイプラインの建設ルートを基本決定したが、中国向け支線建設の構想も具体化しつつある。ーー(モスクワ=共同、2005年4月12日)
【註】 インタファクス通信によるとロシア産業エネルギー省のヤノフスキー燃料エネルギー局長は、今後3年間に東シベリアの新たな石油埋蔵量が確認されなければ太平洋石油パイプラインの建設は中国国境までの第一段階建設分で中止すると語った。ーー(2005年4月27日)
【天然資源省によると、ナホトカ近郊のペレボズナヤまでの第2段階建設は鉱区開発免許の発給状況に応じて検討するとしており、ヤノフスキー局長の発言は第一段階の建設完了までの期間を東シベリアの地質調査にあてるとの考えを示したものといえる。】
●中ロが石油供給協定に調印、中国が融資60億ドル
ロシア連邦エネルギー庁のオガネシャン長官は2月1日の記者会見で、中国とロシアが石油供給の協力合意書に調印したことを発表した。代価は中国からロシアへの60億ドル中期貸付。北京の日刊紙「北京晨報」が伝えた。合意書に調印したのは、ロシア国営石油会社ロスネフチと、中国石油天然気公司。ロシアのフリステンコ産業エネルギー相は1月に中国を訪問し、今回の協力の基本的協定を決定した。ロシアは2010年までに石油4840万トンを中国に輸送する計画。オガネシャン長官は極東石油輸送パイプラインについて、「中国へのパイプライン支線建設について、協議を進めている。最初の石油輸送は中国向けになる可能性もある」と話した。ーー(中国「人民網」、2005年2月3日)
【註】 ロシアのビクトル・フリステンコ産業エネルギー相は、4月19日、日本人記者団と会見し、「スコボロジノからナホトカまでは鉄道で輸送しつつ、中国にはパイプライン(を建設して)輸送する方式は現実的だ」(「日本経済新聞」、2005年4月20日)とし、「中国への石油パイプライン建設を先行させる可能性を示唆した」(同)。その理由について、「中国にはすでに年900万トンを鉄道輸出しており、その量はさらに増える。鉄道をパイプラインに切り替えることはいかなる国になんら脅威とならない」(同)と述べた。
≪中露・石油パイプライン(大慶ルート)のその後≫
もうとうの昔に、中露間で決着がついていたと思っていた、中露間を結ぶ石油パイプライン・大慶ルートの両国間による「交渉」がまだ決着していないようだ。それも無理は無いことで、おおよそ、石油やガスパイプライン計画で、2国間協定ほど厄介なものはない。なぜなら、条約(契約)の締結はすなわち即、双方の立場を束縛するからである。その先例は、ロシアと欧州間を結ぶ、ウクライナ経由のガス・パイプラインやロシア南部とトルコとの間を結ぶガス・パイプライン(ブルーストリーム)−−などにおける当事者間の紛糾問題がある。この流れは当然、いかに友好関係にあるロシアと中国の間でも、起こり得るものである。
◆露大使:パイプライン問題「交渉が先決」決着はまだ
ロシアのラゾフ駐中国大使は3月16日、懸案となっている東シベリア石油パイプラインの接続問題に関して、交渉を行って細部を詰めることが先決だとの考えを示した。2006年が中国における「ロシア年」に当たることを記念して開かれた記者会見での発言。21日から予定されているプーチン大統領の訪中では、東シベリア石油パイプラインをめぐって、中国側への接続が協定などの文書の形で最終確認されるかが焦点となっている。ーー(2006年3月16日)
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