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中国・西域のルート紹介

 東京から北京まで来た東アジアハイウェイはこの先どのようなルートを通って、ヨーロッパへとつながられるのであろうか(参考ルート図参照)。考えられるルートとしては、三つほどある。

 1)北京からモンゴルを経由してシベリア鉄道と並行してヨーロッパに至る(シベリアランドブリッジ=SLB)。
 2)
北京から南下して鄭州さらに昆明あたりからアジア・ハイウェイに連結して東南アジア、西南アジアさらに中近東を経由してヨーロッパに至る(アジアハイウェイ)。

 3)最後は、北京から鄭州、蘭州さらにウルムチを通り、中央アジアを経由してヨーロッパに至る(チャイナランドブリッジ=CLB)

 −−などである。

 このうち、3)のルートについて、既往の文献をもとに検証してみよう。
 
  
チャイナランド・ブリッジ (写真:IHCC) 
   (連雲港ーウルムチを結ぶ鉄道)
  
まず、このルートはすでに、東シナ海に面した連雲港から鉄道が敷設されている、という利点が挙げられる。と同時に、道路についても鉄路に沿ってウルムチまで舗装道路(一般国道を含む(註))が完工されている。
     

 :江蘇省の連雲港市と新疆ウイグル自治区の霍爾果斯を結ぶ主要幹線国道の全線が2004年10月に完成、開通した。総距離は4,395kmの高速道路で、中国で初めて東西を横断する道路。連雲港から霍爾果斯まで車で走ると、約50時間ほどに短縮される。)

 
(参照):本欄「中国の高速道路整備状況」(将来構想)


 この西域でまず第一に克服しなければならないのが、広範囲に広がる砂漠地帯である。この地帯の砂漠には大きく別けて二つある。一つは石油、天然ガスが埋蔵するタリム盆地をかかえるタクラマカン砂漠と中国で四番目に大きいトンゴリ砂漠である。

 前者のルートは天然資源(石油、ガス)開発の先兵として60年代から開発が進み、比較的インフラ(道路、鉄道)も整備されている。また後者もやはり包頭を中心とする天然資源(主に鉄鉱石)開発と、豊かな黄河の水源を利用した鉄鋼業の工業化によって著しい発展をみている(註1

  
呼和浩特〜包頭間を走る幹線道路
 註1:内モンゴル自治区政府は、2010年を目処に自治区内の道路交通インフラ整備を進める。それによると、フフホト(呼和浩特)〜集寧間、(呼和浩特)〜包頭間の高速道路建設などが、新たなプロジェクトとして加わった。)

 ところで、北京から西域へのルートを考える場合、距離的視点からすれば、北京を南下して、石家荘−鄭州−蘭州−ウルムチへと至るよりも、北京北西の張家口から呼和浩特(フホホト)−包頭−蘭州を通ってウルムチに至る方が距離的には短い。問題は上記したトンゴリ砂漠の通過である。

 この蘭州と包頭を結ぶ包蘭鉄道(京蘭線)は1954年に着工し、58年に全線(全長980km)が開通した。しかしこれは文字通り砂漠との闘いであった。それは拡大する砂漠をいかに緑化するかでもある。今日では鉄道の両側に、1m四方に麦わらで囲った砂防が施されて、その成果が現われている。

 一方の、トルファンで別れてコルラ(現在はカシュガルまで完工)までの全長467kmを走る南疆鉄道の沿線であるが、ここは古来から、二つの道に別れている。天山南路を進む銀山道と天山越えをする険しい山道である。

 古来より、人々は砂漠地帯の銀山道(100km以上にわたり草木もなく水もない道)よりも、天山越えの険しい天山南道(4,000m以上の山々が連なるが、水や牧草地があり、食糧の調達も容易)を使っているらしい。

 ところで、中国政府は2001年から2005年までに3500億元(1元=約15円、約5兆2500億円)を投資し、6,000kmの鉄道を新設。既設の3,000kmを複線化するほか、6,000kmの電化も計画している。

 この間の整備計画では特に、青海省(現在、コルムドまで完工)とチベット自治区(将来的にはラサまで延伸)を結ぶ青蔵鉄道(全長1,956km)(参照)など、内陸部のインフラ基盤を強化する。

 (参照サイト:「青蔵鉄道」の工事進捗状況、「中国網」日本語 )

 (なお、鉄路との比較のため参考に「将来の中国幹線道路網」を掲載)


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カラコルム・ハイウェイ(写真:IHCC)
 ところで最近、中国政府は旧シルク・ロード地域(ウルムチ〜キルギスタン〜タジキスタン〜ウズベキスタン〜アフガニスタン〜イラン〜トルコ)を横断する新シルク・ロード(道路)建設に関心を示している。これはアフガニスタンの政権安定化ならびに国土復興とともに、従来までの中国〜パキスタン間を通過する難所越えのカラコルム・ハイウェイに代替するヨーロッパ・ルートの開拓を目指しているともいえる。

 すなわち、このルートの利点は従来の連雲港〜アムステルダム間の鉄道による輸送から、最も西域に位置する開発都市・ウルムチを起点として、@カシュガル〜キルギスタン〜アフガニスタン〜イラン〜トルコ、あるいはAカシュガル〜キルギスタン〜タジキスタン〜ウズベキスタン〜トルクメニスタン〜カスピ海横断ーールートなどを利用し、既存のヨーロッパ・ルートに接続できることである   

     カイバル峠 (写真:IHCC)
 しかし、このルートの中で、カシュガル〜キルギスタン間は中国からの分離独立を求めるウイグル系民族が多数住む政情不安定な地域であり、場合によっては鉄道も敷設されている既存のウルムチ〜アルマアタ(カザフスタン)〜タシケント(ウズベキスタン)を経由して、トラック輸送でアフガニスタン〜イラン〜トルコへ入るルート、さらにはトルクメニスタンとイラン国境まで鉄道で運ぶ[この場合、トルクメニスタン(1,520mm)とイラン国内(1,435mm)との軌間が異なるために、積み替えが必要)ルート、もしくはウズベキスタンを通過し、さらにトルクメニスタンをそのまま鉄道で延伸して、カスピ海ルートに接続したほうが現時点では最善かと思われる。    (参照:UN ESCAP/Trans-Asian Railway Map)

 これらのルートは、シベリア鉄道を利用し、モスクワやワルシャワ経由で東・北欧へ物資を輸送(一時保税も含む)するよりも、トルコ〜南欧・中欧という欧州の大市場に直接物資を輸送できるという利点がある。また、通過する緯度等から勘案しても、冬季の輸送は一部区間(アフガニスタン北部のサラン峠越え(写真参照:「サラン峠のトンネル状況」)を除けば比較的容易かと思われる。   (写真参照:最近のアフガニスタン・カブール状況


 (参照):本欄「東西を結ぶチャイナ・ランドブリッジ再考

 (参照):本欄「
【最悪のシナリオ】:「スエズ運河封鎖事態の一代替案


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