「西気東輸」計画の進捗状況
西気東輸プロジェクト、全ライン開通ー
外資3社はパイプライン事業「西気東輸」から撤退
                     ≪2004年8月≫


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 ≪最新情報≫

 ●天然ガスパイプ、2010年には中国全土に

 中国国家発展改革委員会によると、2010年までに、中国は全土をカバーする天然ガスのパイプラインを整備する予定であることが明らかになった。この目標の実現に向け、地域をまたがる天然ガス輸送大型プロジェクト・「川気東送」(四川の天然ガスを東部の省に送る)が全線で着工した。中国東部、中部、西部の8つの省と直轄市をまたがるこのプロジェクトは、四川省で発見された大型ガス田を主な供給源とし、2010年には完成する予定。
ーー(2007年9月3日)

 (参照):本欄「四川盆地の天然ガスパイプライン網

 新疆・タリムの主力ガス田、東部への供給をスタート 

 
西気東輸プロジェクトの主力ガス田である塔里木(タリム)油田「克拉]」2号ガス田が、パイプラインによる東部へのガス供給を予定通り開始した(2004年12月=右記の写真参照)。同ガス田からの供給は年間108億m3規模になる見込み。2つのガス井は、1日当たりの採掘量が約1,000万m3で、東部地区の1,000万世帯の1日当たり使用量に相当する。ーー(2004年12月)

 (参照):本欄「タリム盆地の石油・ガスパイプライン網




 ≪プロジェクトの概要≫

 西部大開発の今後の行方であるが、主だったインフラ建設等の計画はすでに述べている通りである。ここではその他の大型プロジェクトを検証してみよう。

 まず挙げられるのが、西部地域の天然ガスを東部沿海地域へパイプラインで輸送する「西気東輸」構想である(ここでは当然、石油パイプラインは度外視する)。この構想で、まず問題とされるのは、果たしてどれだけの天然ガスが埋蔵され、それがどれだけ採掘可能かということである。

 中国の天然ガス埋蔵量は2兆m3が確認されており、そのうち採掘可能埋蔵量は1兆2,ooo億m3あまりである(1998年末)。現在、新疆タリムガス田の開発にともなって、ツァイダム・陜甘寧(陜西省、甘粛省、寧夏回族自治区)・川渝(四川省と重慶市)の四大国家プロジェクトがある(そのうち、タリム盆地では5カ所のガス田が確認されている)。また、1998年の中国の天然ガス産出量は223.1億m3である。

 ところで、現下の中国の天然ガス消費地はパイプライン網の未発達なため、主に産出地(西南・東北・四川省・黒竜江省・遼寧省・新疆ウイグル自治区など)に集中している。これらの地区の天然ガス消費量は全国の80%(1997年)を占めている。

 そのうち、四川省産出ガスは湖北省と湖南省に、長慶産出ガスは陜西・寧夏をはじめとする北京・天津・河北などへ、また青海産出ガスは蘭州・西寧へ、さらに新疆産出ガス・ジュンガル産出ガスは主に新疆地域の需要を満たすことになる。そしてタリム産出の天然ガスはパイプラインを通して長江デルタと東部地帯、さらにその沿線地帯に供給されることになる(なお、広東省などのような南部沿海地域は費用や効率面からみて、輸入LNGのほうが得策である。

 上述したように、現在の中国の天然ガスは主として北西部地域で産出し、同地域で大部分が最終消費されている。しかし今後は、同地帯の需要を満たすのみでなく、長江デルタ地帯に長期にわたって100億m3の天然ガスを輸送することになる。「西気東輸」プロジェクトの最終的ガス輸送量は年間200億m3に上るとみられる。

 (参照):本欄「西気東輸」ガスパイプライン輸送ルート




 ≪プロジェクトの経過≫

 ●【上海=2001年12月】
 国家発展計画委員会の張国宝副主任はAPEC準備委事務局主催の記者会見で、「西部大開発の重点事業」の進展具合について、以下のように語った。 

 「西気東輸」(西部の天然ガスを東部に送る事業)第1期工事では韓国浦項製鉄所が6万トンの鋼材供給を落札。またマレーシア石油天然ガス公社、香港の中華電力、中華ガスなどが関係事業の商談を進めている。ロシアも協力に強い意向を表明している。

 多国籍企業のABBやシーメンスは「西電東送」(西部の電力を東部に送る事業)の工事を落札、10月中旬にそれぞれ10億ドル余りの契約に調印した。また、西部大開発の重点事業の進展状況について、「青海チベッ卜鉄道の建設は順調に進んでおり、2001年末までに10億元の資金が投じられる見込みである。

 これから開始される「西電東送」の重点工事のうち、三峡一広東、貴州一広東などの送電線建設は総工費が70億元を超える(同地域における直流送電工程の部分設備調達および技術移転契約が、10月12日、北京で締結された)。2005年に広東への電力供給能力が1,000万kw増える。「西気東輸」の準備作業はすべて終了、外資との交渉を進めており、来年に着工の見込みである。

 国家発展計画委員会は、プロジェクトに対する外資企業が筆頭株主となって、投資をすすめることを許可する計画であること、また、外資系企業は投資プロジェクトを対象とした人民元建て融資を含む貸付金を受けることができるようになる、ことを明らかにした。



 欧米石油メジャー、プロジェクト参加状況

 ●【北京=2002年2月】
 
中国政府は中国内陸部のタリム盆地で産出する天然ガスを上海まで供給する「西気東輸」プロジェクトを正式に承認した。事業主体となる中国石油大手の中国石油は、パイプライン建設・運営の合弁相手として、英蘭系のロイヤル・ダッチ・シェルのグループと基本合意に達したことを明らかにした。 同時に、もう一つの外資パートナー候補の米エクソンモービルも合弁事業への参加を目指して、シェルと接触を続けている。

 
●【北京=2002年7月4日】
 
中国の大手石油会社である中国石油化工股フェン有限公司は7月4日、「西気東輸」プロジェクトで、外資三社と合弁契約を交わした。このプロジェクトの開発事業権益は、中国石油が50%、エクソン、ロイヤルシェル、ガスプロムの外資三社がそれぞれ15%、中国石油化工股フェン有限公司が5%となっている。共同経営期間は45年間。
 
 【その後の経過】
 北京で開かれた「中国発展トップフォーラム」(開催:2004年3月22日)で、英蘭系の国際石油メジャー「シェル」が中国の「西気東輸」プロジェクトからすでに撤退していたことが明らかになった。同社の2004年の中国大陸部での投資額は10億ドルに達している。同社関係者が同フォーラムで投資プロジェクトを紹介する際、西気東輸に言及しなかったという。また、ブリティシュ・ペトロリアム(BP)、エクソン・モービル、ロシア天然ガス工業も提携交渉が決裂したもよう。

 (:欧米メジャーのプロジェクトからの大きな撤退要因として、パイプラインの原価償却に関する期間で折り合いがつかなかったもよう。外資側の原価償却期限を28〜30年としたのに対して、中国側は15年を譲らなかった。)

 
外資3社、パイプライン事業「西気東輸」から撤退 【最新】

 西部の天然ガスを東部へ輸送するパイプライン建設プロジェクト「西気東輸」の工事が完成し、2004年8月3日に全線開通した。開通前日の2日、プロジェクト請負会社の中国石油天然気集団公司(中国石油、ペトロチャイナ)はパートナーであるロイヤルダッチ・シェル、ロシア天然ガス工業株式会社とエクソン・モービルの3社のパートナーにそれぞれ文書を送り、合弁プロジェクトに関する枠組み協定を終了する意向を伝えた。中国石油と同3社は、2002年7月に「西気東輸プロジェクトの共同経営に関する枠組み協定」を締結していた。エクソン・モービル中国の北京代表事務所の杜艶華氏は8月3日のインタビューで、「合弁各社は誠意ある話し合いを行ったが、残念ながら最終的な意見の一致に到らなかった。協定の終了は、エクソン・モービルの中国事業へ影響はない」と話した。これに先立ち、シェル中国の関係者は、「中外双方が結んだのは枠組み協定に過ぎず、正式な契約はまだ結ばれていなかった。外資側3社も、プロジェクトへはまだ資金を投入していない」と説明している。「西気東輸」プロジェクトの投資額は莫大であり、単独請負について中国石油は可能だと表明しているものの、共同請負に比べてリスクが大きくなることは間違いない。3日の時点では、中国石油の関係者からは協定の終了に関するコメントが得られていない。ーー(中国「人民網」、2004年8月4日)


 新彊ウイグル自治区=2002年5月

 新彊ウイグル自治区の天然ガスを、4,200km離れた東部沿海地域に送るパイプライン敷設(地図参照)の準備着工が、始まった。しかし、油井の質、販売コスト、パイプライン建設技術(註)や管理面でも不明な点が多く、建設などの国際入札はまだ決着していない。したがって、現在の工事は「試験的で正式着工ではない」(中国石油天然ガス公司関係者)と、いうことのようだ。

 (註1:中国側はすでに、パイプライン資材の大部分を国産で調達できるスパイラル管(鋼鉄をコイル状にしてつくった管)を当てる方針。しかしパイプ管の強度が劣るため(註1‐1)、地中埋設が原則となり、その分、経費も高くなる。)

 (
註1‐1:このほど、「西気東輸」プロジェクトに使用されるパイプラインの主要鋼管〔UO鋼管〕の大部分を日本の大手3社〔新日鉄・住友金属工業・JFEグループのNKK〕が受注した(2003年2月)。「UO鋼管」は厚板を加工した高級鋼板で、「西気東輸」に使用される量は合計で80万トン。3社で全体の80%を受注した。同プロジェクトは2002年から敷設工事を開始、2007年に完成予定。「UO鋼管」は主に都市部などの人口密集地の安全性を必要とされる区間で用いられる。)

 :川崎製鉄、独製鉄プラントメーカーのSMSデマーグなどの企業連合は、中国最大手の上海宝山鋼鉄から厚鋼板〔原油や天然ガス輸送用の大径鋼管や造船向け〕の製造ラインを受注した。生産能力は年間140万トンで、2005年に稼動予定。〔また上海宝山は、今後の自動車・家電向けの冷延鋼板の設備増強なども計画している。〕上海宝山鋼鉄の2001年の粗鋼生産量は約1,900万トン。また同年の中国鋼材生産量は、約1億5,700万トン。)

 
香港中華ガス:武漢に天然ガスの合弁会社設立へ(2003年9月19日) 
 香港の都市ガス供給最大手の香港中華ガスは中国企業と合弁で、天然ガス会社を武漢市に設立する。香港中華ガスは、武漢市燃気熱力集団、広州市恆容投資公司と合弁で、武漢市天然気有限公司を設立、合弁会社は主に天然ガス管の設置や販売、アフターサービスなどを行う。武漢市燃気熱力集団が現物で出資し持株比率は50%、香港中華ガスは現金で出資し持株比率は49%となる。

 
【北京=2003年10月】 
 上海宝鋼集団は、このほど実施された3回にわたる国際入札で、「西気東輸」プロジェクト用鋼材の総需要量の66%(47万トン)を受注した。その他に、韓国のPOSCOが20万トンを受注した。

 
「西気東輸」の天然ガス商業ベース供給全面開始  
 「西気東輸」プロジェクトにおけるガス供給が2004年1月18日から、浙江省への商業ベースとして始まった。上海、浙江、江蘇、安徽、河南の4省1市向けの商業ベースの供給が全面的に始まったことにより、「西気東輸」は商業稼動に入った。中国の石油最大手、中国石油天然ガス集団公司(ペトロチャイナ)が明らかにした。ペトロチャイナはこれまでにユーザー20社と天然ガス供給契約を締結。年間契約供給量は74億m3で、パイプラインの設計輸送量の62%を占める。そのうち4省1市の第1次契約ユーザー9社への商業ベース供給が実施されており、これまで7,000万m3余りが供給されている。
ーー(2004年1月)




西気東輸、試運転で上海への輸送が無事成功
 
▼今回、ガスパイプラインが完成したエリア
 2003年10月1日から試運転を開始した東部エリアの「西気東輸(西部の天然ガスを東部に輸送する)」プロジェクトで、終着点となる上海に無事供給された。東部エリアのパイプラインは、陝西省・靖辺から上海市・白鶴までの全長1,485km。白鶴ガスステーションは、パイプラインから上海市内にガスを供給する唯一の分岐点にあたり、オルドス盆地、タリム高原から送られてきた天然ガスは、すべててここを経由して上海市内に供給される。上海市は、このエコエネルギーである天然ガスを利用した都市ガスに期待しており、2003年末までに同市は1日当たりおよそ50万m3の天然ガスを利用可能にする。また同市は石炭工場、発電、冶金、化工、交通に利用する天然ガスの研究を進めており、同市の天然ガス市場拡大に「西気東輸」プロジェクトが大きな力を発揮するとみられている。
ーー (2003年10月8日)

 (註:なお上海市にはこのほか、東シナ海から日量180万m3の天然ガスが供給されており(参照:本欄「中国海域の石油・ガスパイプライン」)、これにより日量約230万m3程度の供給量を確保できる見通し。)

 
西気東輸プロジェクト、全ライン開通

 西部の天然ガスを東部に運ぶパイプライン建設事業「西気東輸」プロジェクトで、甘粛省玉門に設置される圧送ステーションの最後の溶接が2004年8月3日に終了した。請負者の中国石油天然気総公司が明らかにした。これによりパイプライン全線が開通し、全線の輸送業務が予定通りに開始される見通しとなった。同プロジェクトのパイプライン総延長は4,000kmに達する。直径は1m余りで、溶接部位は35万カ所。溶接部位の円周合計だけで、1,100km以上になる。2004年1月1日の上海を皮切りに、現在では河南省・安徽省・江蘇省・浙江省・上海の20社へのガス供給がスタートしており、7月末までのガス供給量は累計5億m3を超える。 ーー(中国「人民網」、2004年8月4日)

 
 《総経費と今後の予定》 天然ガス田の開発および生産に投じられた資金は273億元(3,549億円)、パイプラインのルート建設費用は435億元(5,655億円)、供給都市でのパイプライン網建設費用は800億元(1兆400億円)に上る。同プロジェクトは2004年1月1日から東部エリアの河南省、安徽省、江蘇省、浙江省、上海市などの4省1市への天然ガス供給を開始、これまでの累計供給量は5億m3に達している。2004年10月1日からは、全線で輸送を開始し、2005年1月1日からの本格稼動に備える予定。

 (参照):本欄「中央アジアと中国を結ぶ石油・ガス「パイプライン網」計画



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